2019年7月2日号。<逃亡の旅 第十七回 ~関宮に逃げる~:花房観音>

 おはようございます。ヨロンです。

 唐突ですが、私の故郷は長野県上田市です。生まれてから高校を出るまでここで育ちました。父は専売公社の社員。上田城の近くの社宅に住み、小学校の頃は上田城址が遊び場でした。その割には、真田のことは知らなかったのですが。
 今でも、故郷を聞かれれば「上田」と答えます。実家は隣の東御市(とうみし)に移りましたが、上田駅に降りると「帰ってきたぞ」と毎回浸っています。
 当然、郷土愛もあります。今でも仲の良い同級生たちはいるし、不定期にみんなで会っているので、住んでも楽しいかもしれない。
 でも、この先帰るつもりはありません。故郷は今の自分を迎えてはくれないような気がします。
 もし帰ったとしても、こんな気持ちになるような気がするのです。

ふるさとは 遠きにありて 思ふもの
そして悲しく うたふもの
よしや  うらぶれて 異土(いど)の乞食(かたい)と なるとても
帰るところに あるまじや
ひとり都の ゆふぐれに ふるさとおもひ 涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこに かへらばや
遠きみやこに かへらばや

(室生犀星「小景異情(その二)」)

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