2019年11月9日号。<一九八二年、僕はエロ本の出版社に入った。 第三〇回「第三の男」:東良美季>

 おはようございます。ヨロンです。

 今朝の4時頃、大阪の東大阪市内で、また被告人が逃走する事件が起きました。
<大阪地検、また被告人逃走 護送中の車両から 東大阪市>
https://digital.asahi.com/articles/ASMC92GF2MC9PTIL002.html
まだ逃走中のようなので、近くの方は気をつけて下さい。

 昨夜はネット対談『ヨロンブス』を配信しました。
 今までで一番やりにくかったかもしれない(苦笑)
 ゲストのフリーランスライター中村淳彦さんは、東洋経済オンラインで連載された『貧困に喘ぐ女性の現実』が大変話題となり、自身で介護施設を経営した経験や、ずっと続けてきたAV女優へのインタビューなどから「底辺層」の事情に詳しくなりました。そして今週『日本の貧困女子』を上梓されました。
『貧困に喘ぐ女性の現実』(東洋経済オンライン)
https://toyokeizai.net/category/hinkon

 本当は、50代男性の貧困がこれから本格的に日本を蝕んでいき、死屍累々の状況になる、という中村さんの主張を掘り下げて聞きたかったのですが、最初の女性の貧困問題のところでスムーズなやり取りができなかったために、私がテンパって、話があちこち飛んでしまいました。
 終了後にふたりでpost食堂に行ってからは徐々に打ち解けてきて、個人的な面白い話もできたのですが、本番中は苦しそうな表情をしていたかもしれません。

 そんな、進行に苦しんでいる私はこちらからご覧いただけます(さらに苦笑)
「貧困大国日本の現状を知った男」ヨロンブス vol.21 ゲスト:中村淳彦
YouTubeLive
https://www.youtube.com/watch?v=JB58R8MtcCU

 今年の5月頃、経団連の中西宏明会長やトヨタ自動車の豊田章男社長などが、終身雇用の見直しについて言及しました。中西氏は日立製作所の会長です。
 終身雇用は制度疲労を起こしているので、それを前提とした経営をすべきではない。つまり、新たな事業にチャレンジしながらクビを切ることも必要だ、という趣旨の発言。終身雇用だけではなく、「新卒一括採用」や「社内教育」についても見直しを主張しています。

 これは、「人」を採用することを最優先とした日本型企業のやり方を根底から否定するもので、今後は「仕事」を優先して、その仕事に人をつけるという考え方にシフトさせようということになります
 ベンチャー企業の経営者や個人事業主みたいな人からすると「何を今さら」ということですが、定期昇給も否定されて、大企業だけではなく中小企業も人材の流動化が進みます。

 その結果どうなるのか。
 定年まで一生懸命(この場合は一所懸命という言葉のほうが適切でしょうか)働こうとしていた人も、仕事が無くなったときに配置換えではなく、解雇もしくはレイオフされる事態があちこちで発生します。ある程度退職金の上乗せが行われても、将来設計が崩れるのです。

 中村さん曰く、女性の場合はまだセーフティネットとしてのサービス業が残るけれど、50を過ぎたおっさんには何も残らないので、ほとんどが難民化していき、家の中で不要となったおっさんが放り出される、ということになります。

 にわかには信じがたい話ですが、実際に数々の”現場”で取材をしてきた中村さんは、そこに日本の未来を見たのでしょう。私自身も、将来への大きな不安を抱えていたので、いちいち話がストンと腑に落ちました。

 その地域でのヒエラルキーのトップにいたはずが、結婚や親の介護、職場の倒産などを機に、一気に最下層に落ちてしまう現実があります。その際に、政治も企業もほとんど無力だとすると、結局自分は自分で守らなければならない。
「一家の大黒柱」という言葉も死語になるのでしょう……あ、もうなっているか。

 この2週間ほどは、そんなことを悲観的に考えていたのですが、そんな状態でトーラさんの小説(自伝)を読むと、このころ(80年代半ば)もカオスだったけれど、まだ希望はあったな、と思えるのです。

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一九八二年、僕はエロ本の出版社に入った。 第三〇回「第三の男」

東良美季(作家)

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