2020年3月10日号。<花房観音の輝いていない日々 第30回>

<花房観音の輝いていない日々 第30回>

おはようございます。ヨロンです。

 朝の風はまだ少し冷たいものの、春の匂いがしてきました。
半蔵門では、まだトイレットペーパーの不足が続き、昼過ぎにどこに行っても売り切れています。店員に聞いてみると、どうも同じ顔ぶれの高齢者たちが、毎朝ひとり一個のトイレットペーパーを何度も買っていき、店頭から消えそうになっているのを見て、会社員や主婦が慌てて買っていくので無くなってしまう、という状況が続いているようです。
供給は続いていて需要は限定的なので、不足が解消されるのはわかっているのですが、半蔵門の住人は比較的冷静に対処できると思っていたので、残念な気持ちになりました。こうなると、道を歩く人の顔も違って見えてきます。

昨夜19時からは、『秘密の選挙サロン』をお送りしました。
相変わらず開始直前になってメンバーがバタバタと来るので、オープニング時刻を間違えてしまいましたが、本編は特に大きなトラブルもなく配信できました。
冒頭、政治学者の逢坂巌さんが、私の血気酒会のときのように、「何回目だっけ?」とボケているのが笑えます。次回は30分遅らそうかな。

 ゲストの相川俊英さんは、以前はテレ朝の「サンデープロジェクト」によく出ていたので、覚えている方も多いでしょう。地方自治を専門に取材していました。

【ライブ】秘密の選挙サロンvol.11 いまだから語ろう地方自治!
https://www.youtube.com/watch?v=Ky6itOdqLC8

 打ち上げで「にじゅうまる」に行きましたが、やはり閑散としていてほとんど客は入っていませんでした。私が「全国まわりたい」とか「離島に移住したい」と言うと、相川さんはどんな地域でも細かく自治の状況を解説してくれるのでありがたい。
相川さんは、2000年の長野県知事選挙のときは週刊ダイヤモンドによく特集記事を書いていて、私のことも覚えてくれていたので、初めてちゃんと挨拶したとは思えないくらい自然に話ができました。

アメリカがNYダウの下落や原油クラッシュで大変なことになり、世界経済にきしみが出てきています。
日本の株価も心配ですが、私みたいな素人でも円高はかなり不安を感じます。今まで「異次元の金融緩和」で無理やり円安を演出し、いわばハリボテの恐竜を作って「ほら、大きな恐竜ができたでしょう」と言っていたところに、足元に火が点いたことで骨組みだけになってしまう恐れが出てきました。
政府は、コロナだけでなく、今までのツケが回ってくる経済問題に直面し、その上で検察定年問題や河井夫妻の公選法問題などにも対応しなければなりません。自業自得とも言えることなのですが、国民の生活や経済活動にも大きく影響するので、これからはコロナ対策だけでなく日本全体が正念場を迎えると言えるのでしょう。

コロナウイルスについては、このサイトがお勧めです。
長いのですが、図やグラフでわかりやすくまとめてあるので、ぜひご覧ください。

最新版:新型コロナのすべて(NEWS PICKS)
https://m.newspicks.com/book/2043/article/4681900

観音さんのエッセイを読んで気が付きました。図書館の休館時は家の本を読めば良いし、本屋やAmazonなどのウェブ書店は開いているので欲しいのは買えば良いと思っていましたが、仕事上の調べ物で利用している人にとっては大きな問題ですね。
自分の生活に関わりのないところは見えにくいのですが、丁寧に探っていくと、さまざまな影響が見えてきそうです。

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 花房観音の輝いていない日々 第30回


コロナ騒動で、すっかり予定がなくなってしまいましたが、かといって暇ではない日々です。府立図書館、国会図書館が休館なので、仕事に支障もきたしています。
人がいないというけれど、先日、大阪の天神橋筋商店街に行くと賑わっていて、昼間から泥酔しているおっちゃんなどもいて、いつも通りでした。
道頓堀はガラガラらしいので、外国人観光客がいくところとそうでないところで違うのでしょうね。
あとコロナとは関係ないのですが、梅田の泉の広場の泉が撤去され、なんか光って葉っぱがついてる人工の大きな木があって、すっかり綺麗になっていました。
泉の広場は、小説家になる前、バスガイドの会社の事務をしていたときに、毎日通っていた場所です。
待ち合わせ場所として知られていましたが、広場から続く階段を使い地上にあがると、すぐにラブホ、風俗街、そして近くには大阪では有名なゲイタウン(東京でいうと新宿二丁目)もあり、そのせいか、出会い系や売春買春目的の人たちの吹き溜まりでした。
私もここに立ってたら、よく声をかけられました。ナンパではなくて、出会い系の待ち合わせですっぽかされた人に、誘われるのです。あと、明らかに声をかけられるために毎日いる女の子もいました。
金銭目的のセックスのためにここに立つ人たちって、毎日見ていると、男も女も表情で、なんとなくわかってしまいます。当たり前ですが、恋人や友人とルンルンの待ち合わせをしている人たちとは違います。
そしてもうひとつ、ここには都市伝説がありました。
「赤い服の女」です。
誰にでも見えるわけではない、赤い服を来て、毎日広場にいる女。その「赤い服」は、近くのホテルでその女が殺された際の血で染まったものだ、という話です。
ちなみに、私は毎日、泉の広場を通っていましたけど、一度も見たことがありません。
泉が撤去され、やけに明るく綺麗になった広場には、以前のような、迷いとおそれが混じった目をした出会い系の男女の姿は見当たりませんでした。
おそらく「赤い服の女」も、いなくなったのではないでしょうか。
でもみんな、どこに行ったんだろう。

 京都のほうはどんなもんだと思って、取材も兼ねて、先日、ちょっとあちこちまわってみました。
まず、右京区花園の妙心寺に向かいます。妙心寺派臨済宗花園派の大本山で、とても大きなお寺です。今、この妙心寺では、仏殿と明智風呂が「京の冬の度」特別公開で観られるのです。
妙心寺そのものは、何度も行っていますが、明智風呂の中には入ったことはありませんでした。
明智光秀の菩提を弔うために、光秀の叔父である妙心寺の塔頭・大嶺院の密宗和尚が作った蒸し風呂と言われていますが、これが実はずっと謎でした。
なんで供養に、風呂?
たとえばどこかのサウナの社長が亡くなって、供養のために新しいサウナ作るとかならわかります。でも光秀、なんで供養に風呂? その謎を解くためにも、行きたかったのです。
最初に、仏殿で光秀公のご位牌などを見てから、明智風呂に移動し、説明を聞きます。一通り、説明が終わったあとで、案内の人に、「なんで供養に風呂なんですか?」と質問をしてみました。
「ふたつ、理由が伝えられています。ひとつは、光秀公がお風呂が好きだったんです」
これには納得しました。
「もうひとつは、『水に流そう』っという意味ですね」
えええーー!!
おい! ちょっと待て!
そら信長は残虐なやつだけど、人を殺して寺に火をつけておいて、「水に流そう」って!!
と、心の中でツッコミながら、「ありがとうございます」と御礼を言って外に出ました。
しかも蒸し風呂だから、そんなに水流れないというか、出てくるのは汗だし!
そもそも「水に流そう」って、加害者が言うべきじゃないよな、なんて考えていると……。
「〇〇さん(私の旧姓)」と、声をかけられました。
すると、目の前にはマスクをした四人の女性が……。
バスガイドの先輩たちです。
コロナ騒動で、旅行仕事はキャンセルが相次ぎ、バスガイドは今、ずっと休みで、しかもうちは派遣なので給与も無しです。
そんな状況ですが、先輩たちは、落ち込むこともなく(というか、こういう状況に慣れてる)、勉強をしようと「京の冬の旅」をまわっているとのこと。
大河ドラマの関係で、光秀関係の仕事も今後増えるだろうということで、妙心寺に来られていたようでした。
元気しとんのー! 久しぶりやなー! などと、ほがらかに話して、なんだかいろいろ懐かしくなりました。

 先輩たちと別れて、私は妙心寺の南門前、妙心寺御用達の精進料理「阿じろ」へ。
以前、妙心寺退蔵院の食事つき夜間拝観に参加したときに口にした、この「阿じろ」の料理がとても美味しかったので、訪れたい店でした。
普段なら混み合っているでしょうが、今なら……と予約無しで訪ねると、すぐに個室に通してくれました。やはり団体客のキャンセルが相次いでいるとのこと。
お料理は、胡麻豆腐、炊き合わせ、山菜の天ぷらと、季節感あふれる丁寧なものを美味しくいただきました。そしてバスで三条京阪、そこから京阪電車で中書島駅に行き、付近を歩きました。
久々に、薩摩藩士御用達の宿で、同士討ちの「寺田屋事件」のあった、寺田屋の前を通ったので、入ろうかなと思ったら、コロナの影響で休みでした。寺田屋は、坂本龍馬が定宿にしていて、妻になった、おりょうとのエピソードでも知られています。龍馬が奇襲されそうになったとき、風呂にいたおりょうが気づいて、全裸で二階にいる龍馬に知らせ、難を逃れたという有名なエピソードです。
寺田屋には、ふたりを結び付けたとして、寺田屋のおかみ「お登勢」が祀られている、縁結びの「お登勢明神」もあります。
寺田屋の前を通りしばらく歩くと、酒造の建物が見えてきます。ここは伏見、酒どころです。
空いてるかなと少し心配していたら、月桂冠が蔵を改装して作ったカフェはオープンしており、酒まんじゅうと紅茶をいただきます。酒造会社のカフェなので、ここは昼間から利き酒もでき、またカフェメニューも甘酒や、吟醸酒をかけて食べるアイスクリームなどがあります。
カフェを出てまた歩くと、黄桜カッパカントリーの前を通ります。ここにも売店や、飲食店があり、一般の人でも見学ができます。
そして店が立ち並ぶ「龍馬通り」に出ました。昔はこんな名前じゃなかったけれど、観光地化して人を呼ぼうということでしょうか、飲み屋などが並び、龍馬や中岡慎太郎、新選組などのパネルもあります。中岡慎太郎や新選組は関係ないやんと思うけど、そんなこと口にしません。そして龍馬通りは、伏見大手商店街に突き当たったところで終わりです。伏見桃山駅から続く、アーケードのある大きな商店街です。
数年前、宮崎健介元議員の「ゲス不倫」現場は、この近くのマンションだと報道されたのが妙に印象に残っています。商店街も、いつもの通り、賑わっていました。

 そして京阪に乗って、祇園四条駅へ移動。そこから四条通を祇園へ向かって歩きます。
地上に出た瞬間、「人、多い」と口にしそうになりました。
確かに以前のように中国人観光客の姿はありませんが、おそらくレンタルであろう着物姿の若い女の子や、若い男子と、日本人の若者が溢れているのです。そういえば、学校が休みだから、渋谷も若者で溢れているというニュースがありましたね。
外国人のいない京都を、いまのうちに楽しもう! とばかりに、若い人たちが訪れているようです。
誰も考えることは同じだな。
そして四条通を東に歩き、花見小路へ。
お茶屋さんが並ぶ、祇園花見小路、かねてよりオーバーツーリズムの問題が強く問われていた場所です。そもそもここは観光地ではない。でも、舞妓さんがいて、古い数寄屋建築の建物が並ぶ京都らしい場所ということで、多くの外国人観光客が訪れ、勝手に玄関の中や庭に入ってきて写真を撮ったり、舞妓さんを追いかけて着物をひっぱる、触る、前を塞ぐなどの問題で、住民たちが「舞妓をさわるな」という注意を喚起したり、写真撮影をした者からは一万円徴収すると決めたりなどと対策を講じてきた場所です。
私も、ここ数年は、近寄るのを避けていました。お茶屋の犬矢来などに持たれたり、道に座り込んだり、おむつを替える人たちなどを見ると、文化の違いといってはそれまでですが、気分がいいものではないし、それ以前に、人が多すぎてうるさいし、まともに歩けなかったのです。
そんな花見小路が、閑散としていました。
こんな光景、何年ぶりだろう? と、思いながら、南に歩きます。
けれど花見小路沿いの家やお店には、英語で「家に入らないで」「写真を撮らないで」などと張り紙しているものも多く、今まで「観光」に生活を脅かされていたのだというのもよくわかりました。
私は建仁寺の手前で東へ向かう道に曲がり、次は南に曲がると、左にラブホ街が。そこを抜けると、安井金毘羅宮、縁切り神社です。
「カツヤマサヒコSHOW」の第一回、エロツアーでも訪れた場所で、あのとき、榎木アナウンサーが酒との縁切りを口にし、勝谷さんは「俺は縁を切るものはない」と言い切っていたのを思い出しました。
花見小路は人が少なかったのですが、縁切り神社は大盛況です。ここも着物の若い女の子たちが、並んでいます。
悪縁を切り、良縁を結ばせてくださいと、私もお参りしました。
「売れない作家」という状況から、縁を切りたい……切実です。
そのあと、東大路に出て、下河原を歩き、八坂神社へ。
もともと八坂神社は、祇園社といい、疫病鎮めのための神社なので、コロナ騒動、早く収束してくださいと手を合わせます。
八坂神社の境内も賑わって、屋台も出ていましたが、社殿の鈴緒は、コロナ対策のためふれられないようになっていました。
そういえば、誰かが、今こそ奈良の大仏を造るべきだとかネットで言ってました。奈良の東大寺の大仏は、疫病の流行などで国が荒れた際に、仏様の力を借りて国を立て直そうとして作られたものなんですが、あの大仏を造るために民衆の役を課したりしたので、ますます国は貧しくなり荒れていったんですよね……あかんやん。
東京五輪が、この「大仏建立」のように思えるのは、私だけでしょうか。

 八坂神社に着いた頃には、午後三時でしたが、珍しく外に出て歩き回ったので、疲れて家に帰りました。
京都市内歩いて、結構、人がいるなぁと感じました。そこは「観光都市」の強さなのかも。
でもだからこそ、見えない打撃も大きい。
本来なら、もうすぐ、一番きれいな桜の季節なのに。

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