2020年3月22日号。<若者はじっとしていられない / 「100日後に死ぬワニ」で、「死」と「食うこと」を考える /エッセイ【「食糧」と「食料」】:漆嶋稔>

<若者はじっとしていられない / 100日後に死ぬことを考える /エッセイ【「食糧」と「食料」】:漆嶋稔>


 おはようございます。ヨロンです。

 昨夜、高野登さんに誘われて、恵比寿の「アート・カフェ・フレンズ」で行われた、「村上信夫トークライブ」に行ってきました。村上信夫さんは元NHKアナウンサー。何も事前情報を入れず、ただ高野さんに会いに行ったのですが、これがいろいろな意味で感動するものでした。
 会場は60席ほどの洒落たイベントスペース。酒も料理もあります。高野さんの横にいると、次々と麗しい女性立ちが挨拶に来ます。元宝塚でベルバラのオスカル役をやっていた真織由季さん。「論語知らずの論語塾」塾長の安岡定子さん。フリーアナウンサーの稲葉寿美さん。「こちら秘書室」(ぐるなび)担当室長の渡辺華織さん。他にも何人もが高野さんと楽しそうに話ししているのを横から見ていると、何か別世界に来てしまったよう。私は完全に浮いていました。

 ゲストはパーカッションとピアノの女性デュオ「227」。これが圧巻で、イベントが終わってCDとステッカーを買ってしまいました。TV東京系「美の巨人たち」のエンディングテーマやTBSラジオ「ナイツのちゃきちゃき大放送」などの音楽を担当しているので、耳にした方も多いかもしれません
 感動し過ぎでCDにはサインまでしてもらい、その時に少し立ち話をしました。パーカッションの山下由紀子さんは「カホン」という楽器をメイン演奏するので、ローランドからデジタルカホンが発売されていることを言うと、なんとおふたりともローランドの製品デモを行っているとのこと。帰ってからビデオを見てみると、ピアノの広田圭美さんはしっかりと最新ステージピアノ「RD-2000」を使っていました。
RD-2000
https://www.roland.com/jp/products/rd-2000/

こちらはライブ映像のダイジェスト版
https://www.youtube.com/watch?v=UK5vI3ofHeY

 高野さんは始まる前に「追っかけやっているんですよ」と言っていましたが、私もすっかりハマりそうです。


■若者はじっとしていられない

 ライブが終わり恵比寿駅に向かうと、若者で溢れていました。駅前ではジャズのインストゥルメンタルバンドがパフォーマンスをしていて、多くの若者が取り巻いてみています。これがまた上手い。
 夜10時半の品川駅でも、多くの若者がいました。感覚的には、乗降客自体は3割ほど減っていて、その中の若者(10代~30代)比率は9割といったところ。昼間の半蔵門には5分咲きの桜を見に花見客が来ていましたが、いつもの半分以下の感じ。年齢層は30代~60代といったところが多く、それ以上はほとんど見かけませんでした。

 これだけで全国の傾向が言えるわけではありませんが、若者の多くは街に繰り出し、高齢者は家でじっとしているという構図ができているように思えます。みなさんのところではいかがでしょうか。

 今までライブハウスでの感染はありましたが、クラシックやジャズを椅子に座って観るようなライブでは感染リスクは少ないし、街頭ライブも大丈夫でしょう。帰ってきて手洗いうがいをしっかりやれば、ほぼ感染リスクは防げると思います。これがマズいのであれば、駅の混雑なんて今すぐ規制しなければならない。
 感染防止対策と感染者への対策は強化しながら、飲食店やコンサート・イベントなどの自粛は解除していくべきだと思うのです。花見も、今年は宴会は自粛するとしても、歩きながらの花見まで自粛する必要は無いでしょう。それで感染するのであれば、今ごろ日本国内の感染者数はこんなものではないはず。


 一週間ほど前の情報ですが、カリフォルニアでは州知事の発表があり、バー、ワイナリー ブリュワーは営業禁止。レストランは席数の半分まで、さらに65歳以上は自宅待機で、他の人とはソーシャルディスタンス(2m)の距離を取るように、と連呼されているということです。
 65歳以上が自宅待機となると、店のオーナーや責任者の多くが現場に出てこられないことになり、かなり混乱しているらしい。トイレットペーパーの買い溜めも始まっていて、これは日本に限ったことではありません。


■「100日後に死ぬワニ」で死と「食うこと」を考える

 ここ数日、日めくり漫画「100日後に死ぬワニ」の炎上問題がネットを賑わしています。「100日後に死ぬワニ」というのは、漫画家のきくちゆうき先生がツイッターで連載していたもので、無料で読めます。100日後に死ぬワニが、それを知らずに何気ない日常生活を送っている漫画。4コマの最後に必ず「死まであと**日」と書かれているので、読む方はワニと自分をオーバーラップさせて人生を考え、今まで無かったスタイルも受け入れられて大人気となっていました。
こちらから全部観ることができます。

(まとめ)日めくり漫画「100日後に死ぬワニ」
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1912/29/news029.html

 当然、100日後のことは読者は気になるわけで、最終回はジーンと胸に響くような内容で、しかも主人公のワニは、きくちゆうきさんの亡くなった友人がモデルとなっていることで、さらに感動が深まったのですが、これが炎上してしまったのです。
 最終回の前から、後日譚が収録される書籍発売が公表され、当日は大々的なキャンペーンが発表されたため、「個人の漫画家がツイッターで無料で連載している」ということで静かに共感していた読者は、「電通が絡んでいたのか」と反発し炎上しました。

<「100日後に死ぬワニ」最終回直後に“炎上” 突然のメディア展開発表あだに>
https://news.yahoo.co.jp/byline/kawamurameikou/20200321-00168973/
<連載開始時から主人公が100日後に死ぬと明かしてツイッターで展開して話題となったマンガ「100日後に死ぬワニ」(きくちゆうきさん作)が20日に最終回を迎えましたが、その直後に、書籍化と映画化、グッズ展開が発表されました。最終回が意味深長でグッとくる内容だっただけに、「最初から仕込みがあったのか」という声が続出しています。>

 普通に考えて、最初から電通が仕込んでいたというのはありえません。おそらく、漫画の人気に乗っかろうとしたメディアや広告代理店がきくちさんのところに日参し、いくつかの関連イベントや商品が決まったということなのでしょう。
 きくちさんはプロの漫画家なので、仕事として成り立たせることは問題ありません。しかし、読む方は無料で公開されていてしみじみと共感していたものが、いきなり商業ベースで展開され始めたので、戸惑い、それが批判につながったのでしょう。裏切られた、という感じで。

 これは、読者の気持ちを理解できなかった仕掛る側のミスだと言えます。きくちさんは涙ながらに釈明したそうですが、素晴らしい作品だっただけに残念でした。「いつか自分は死ぬんだ。それは明日かもしれないし、100日後かもしれない」と考えることも大事ですし、マネタイズ方法もいろいろと考えさせられる出来事でした。「食っていく」ということですね。

そこで、今日も漆嶋さんのエッセイに続きます。この流れは、仕込みではありません(笑)

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【「食糧」と「食料」】

 漆嶋稔(翻訳家)

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