2020年3月29日号。<人工呼吸器を作れ! /エッセイ【志のあり方】:漆嶋稔>

<人工呼吸器を作れ! /エッセイ【志のあり方】:漆嶋稔>

 おはようございます。ヨロンです。

 窓の外は雪です。昨日は暑いくらいだったのに、今日は真冬並みの寒さです。これでは外に出る気が無くなりますね。自然が不要不急の外出をやめるように訴えているようです。
 それでも新聞は来るし、蛇口をひねれば水が出る。テレビでは中身のないお笑い番組を流し、いつもと変わらない日曜日の朝を迎えています。これには多くの方の「不眠不休」の努力があってこそなのでしょう。そこまで思いを馳せる余裕ぐらいは持ちたいものです。

 初めて清水市に行ってきました…と書こうと思っていたら、今は静岡市清水区なんですね。2003年に静岡市と合併して、静岡市の一部になったということです。静岡県(浜松市)に住んでいたのは30年ほど前の話なので、まだ頭の中は「清水市」でした。
 夕方一度東京に戻って半蔵門の事務所に行きました。東京駅はガラガラというわけではありませんが、かなり空いていました。どの電車に乗っても必ず余裕で座れるくらい。
 半蔵門に行くと、当然のことながら千鳥ヶ淵に来た花見客はまばら。ランナーもわずか。外出自粛要請が出ていても走るアスリート魂というか、阿呆魂というか。走らずにはいられないんでしょうね。家で身体を鈍らせてしまっているアスリートも多いことでしょう。
 実は、今日も夕方から清水に行くことになりました。仕事です。昨日、帰りの新幹線に乗ったときに「そうだ。熱海に泊まりたかったんだ」と思い出しました。雪が降ると新幹線は止まってしまう恐れもあるので、熱海の温泉で泊まればのんびりできるし、移動も少なくて済む。でも、仕事があるのは夕方6時過ぎからなので、それまで時間潰せるのか。などと考えていたら東京に着いてしまいました。


 安倍首相の会見は、事務所からの帰宅途中に見ました。緊急事態宣言が出されるのではないかと思っていた人もいたようですがそうではなく、よくわからない会見でした。多くは物足りなさを感じたのではないか。

 それでも「長期化」について示したのは良かった。第2回の専門家会議の発表を踏まえて、学校の再開やイベントなどの実施について緩和する方向を示し、3連休にどっと人が出てしまったのは失敗でした。そして、今回は感染爆発の可能性と長期戦ということで、方針が変わったと思った国民は多かったのではないでしょうか。病気が治りかけていると思っていた患者が、急に「いやいや、これからが本番だから。長くなるよ」と言われたようなものでしょう。
 『××な日々。』では、「日本はピークを先に持っていき、急激に患者数が増加しないようにして医療崩壊を防ぐ方針なので、長期化する。だからオリンピックは延期だ。なんとしても中止は避けようとしている」と言ってきたので、勝谷さんだったら、「私の言ったことが本当になった」と自慢しそうです。それでも「長期化を覚悟する」では何をしたら良いかわからない。「長期化させてピークを先に持っていくので、その対策として***を行う」という流れの話であれば良かったでしょう。

 中小企業支援の話も出ました。私は借りる予定はありませんが、「小規模事業者」や「個人事業主」にあたるのでどんな補助があるのか見てみたところ、「実質無利子」の「実質」のところがよくわからず、今までの金利よりも低く借りられるというところしか見つけられませんでした。私の探し方が良くなかったのかもしれない。
 経理に確認しようと思っているのですが、手続きが面倒で金利もかかるのであれば、社員に払う給料がないとか、よほど困っていなければ借りる必要はないかな。逆に言うと、切羽詰まった企業救済の施策にはなっていないのではないか、と感じました。

 東京の自粛要請は、ある程度効果があったように見えますが、これはどうなんだろう。
<感染者の確認ない鳥取・島根 外出自粛の都市部から観光客も 新型コロナ>
https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0328/mai_200328_9757866740.html
<これまでに感染者が確認されていない鳥取、島根両県。羽田便だけが就航している鳥取空港(鳥取市)は、東京の「外出自粛」を受け、閑散としていた。ただ、都市部で外出自粛が呼び掛けられているなか、「安全」というイメージのある両県をあえて訪れる観光客もいるという。>

 観光業の立場に立てば東京から来てもらうのは有り難いし、来なくなると死活問題となりますが、それだけ感染リスクも上がる。せめて空港で体温を測るとか、瀕死の観光業には自治体レベルでの補助を緊急で出すとかの施策が欲しいところです。
 年度末となり、この週末は首都圏で外出自粛要請が出たこともあって、多くの若者が帰省したり郊外に観光に行ったようです。
<【観光地の今】リゾート地『熱海』を訪ねたら「ここは原宿か?」と思うほど若者が溢れていた>
https://rocketnews24.com/2020/03/26/1351239/
<楽しそうに談笑しながら、記念撮影したり、食べ歩きに興じたり。一瞬ここは原宿か? 新大久保か? と錯覚してしまうほどだ。だが、ここは間違いなく熱海。
とくに駅前エリアでは、路地裏にある「熱海プリン」に大行列。その並びのイチゴスイーツ専門店「BonBonBerry」も大行列。絶え間なく人が並んでいるので、購入を諦めた。
さらにすごかったのは、昨晩の熱海銀座だ。2019年8月にオープンした「熱海銀座おさかな食堂」は、安くて美味しいランチを食べられることで知られているらしく、昼時にお店の前を通ると長蛇の列。>

 若者が知らずに感染を拡大させているというのであれば、これはマズいでしょう。それでもこういう若者に危機感を持たせて狭いアパートに閉じ込めておくのは難しい。


 エンジニア的視点に立つと、今後予想される事態にテクノロジーで対応できることに関心があります。これから重症患者が増えてきて問題となるのは、病床数や医師・看護師の不足とともに人工呼吸器の不足。病床数は政治的な解決策も望まれて、専門家の不足はやりくりするしか無いと思いますが、技術的なものはなんとかなる。
<掃除機のダイソン、対コロナ用に10日間で新型人工呼吸器をデザイン>
https://www.gizmodo.jp/2020/03/dyson-designed-covent.html
<CNNいわく、ジェームズ・ダイソンがイギリス政府から1万台の注文を受け、これを10日間で設計し、現在製造中とのこと。そして、さらに5,000台を寄付するとCNNに話したとのことです。「CoVent」は急騰している需要に合わせ、短期間で効率的に大量生産ができるよう考えられているのだそうです。>

 ダイソン氏については、以前週報迂闊屋でも絶賛した記憶がありますが、その発想と開発力は素晴らしいものがあります。さらに、私の好きなイーロン・マスク氏も製造に乗り出すということで、期待したい。
 日本のメーカーもいい感じです。
<人工呼吸器を一気に月産1万台へ引き上げる旭化成、6年前の米社買収が生きた!>
https://newswitch.jp/p/21639
<新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受け、人工呼吸器を現在の生産数の約25倍である月1万台生産する旭化成。同社傘下の米ZOLL Medical Corporationが米国内の部品メーカーから供給を受け増産する。同社製の人工呼吸器は高性能のフィルターを搭載し医療体制の整っていない現場でも患者と医療従事者の双方に使いやすい。>

 足りないのであれば作る。これは単純なことですが、生産ラインや部品調達、金型製作など課題は多い。しかし、優れた製造業はそれらを乗り越えて対応できる強さがあります。こういうニュースをもっと拡めて、不安を感じている医療従事者や市民に少しでも期待と安心を与えることが望まれます。


先日お送りした『ヨロンブス』の公式版をアップしました。

『ヨロンブス』vol25 「お前も死ぬぞ 釈尊」「大丈夫だよ 生きていけるよ」お寺の掲示板の魅力 ゲスト:江田智昭さん

「『お寺の掲示板』買いました」という報告も寄せられています。終わってからの打ち上げでも、次から次と江田さんの話は尽きませんでした。仏教の広報的な役割をされる中で、幅広い知識と経験が培われてきたのでしょう。連載も期待してください。


 今日の漆嶋さんのエッセイもハードウェアがポイントとなっています。このような話にワクワクしてしまうのは、やはりエンジニアの血がまだ枯れていないということなのかな。

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【志のあり方】

 漆嶋稔(翻訳家)

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