2020年3月30日号。<都市封鎖はありえるのか /現金給付と減税と商品券は全部やるべき / 若者に伝わらない理由 / エッセイ【学生さんに期待する】:漆嶋稔>

<都市封鎖はありえるのか /現金給付と減税と商品券は全部やるべき / 若者に伝わらない理由 / エッセイ【学生さんに期待する】:漆嶋稔>


 おはようございます。ヨロンです。
 昨日は、おそろしく寒い一日でした。朝から雪が降っていたのを見て「天が、安易に外出させないように雪を降らせてくれたのだ」と思いました。

 夕方、新横浜から静岡に行く新幹線の中で、届いたメールを読もうとしたら、いつもより多くて驚きました。「何か気になる話題があったかな」と見てみたら……
「ヨロンさん、漆嶋さんのエッセイは3月1日に配信済みですよ」と。
 やってしまいました。いつも複数のエッセイをまとめて送っていただいているのですが、最近いただいたエッセイ集の中に『志のあり方』が入っていて、漆嶋さんから「以前送ったものが重複してしまった」と連絡があったのでした。わかっていながら私がルーチンの手順で入れてしまった。すみませんでした。
 昨日掲載するはずだった『学生さんに期待する』を今日掲載させていただきます。


■都市封鎖はありえるのか

 複数の方から「4月1日が東京ロックダウン(都市封鎖)という噂があるけど、本当か?」と問い合わせをいただきました。
 私が真相を知るわけではないのですが、「普通に考えてまだ無いと思う」とお返事しました。
 その理由としてはこうなります。
・東京都の感染者数が増えているのは事実だが、人口比においてまだ少ない。しかも29日の感染者68人強のうち、27人は台東区の病院関係であり、それ以外の感染者が爆発的に増えているわけではない。
・店舗や交通機関などへの根回しを行わずにいきなり封鎖してしまうと、混乱が大きすぎる。
・封鎖した場合の経済的損失は膨大なものになるが、その対策が立てられていない。
・東京だけ封鎖するのは現実的に困難。

 それでも小池都知事は都市封鎖を考えています。リーダーの権威に酔えるから。実際に封鎖となったときのことを考えてみるとどうなるのか。
 まず法的に、交通機関を止めたり、店舗を強制的に閉めさせることはできません。従ってあくまでも「不要不急」ではなく「一切外出しないように」要請するだけとなるはずです。そしてそれに罰則はありません。
 これでは今とそれほど変わりなく、周辺の県とも足並みを揃えないと都内外からの人の流れは止められないため、実際は意味が無いことになります。

 それでは、首相が国家非常事態宣言を出す可能性はあるのか。
 まだ爆発的に増えているとは言い難く、非常事態宣言を出したら、経済活動が止まることにより甚大な被害が出てしまうので、政府はギリギリまで見極めようとするでしょう。
 しかも、先日成立した特措法では、交通機関を止めることはできません。ひとつだけ方法があり、それは感染症法第33条を発動することです。そこまでやって3週間交通機関を止め、飲食店を閉めさせ、出勤を認めないとした場合どうなるのか。
 能天気な自治体の首長は「今こそ非常事態宣言を!」などと言っていますが、そんな簡単なものではないのです。

 それでも、安倍首相と小池都知事が非常事態宣言を考えていることは事実です。
 もし出す場合、その間の休業補償や飲食店の営業補償を打ち出してからでないとパニックになります。当然工場も止まり、学校は休校。あらゆる生産活動に影響が出ます。首相はそこまで考えているのか。いくらなんでも、この状況で無茶はやらないだろうと思います。経済が壊滅的な打撃を受けることになるので、今年もしくは来年の選挙を考えると、おいそれと非常事態にはできません。しかし、支持率が下がらないのであれば、宣言を出してしまうかもしれない。


■現金給付と減税と商品券は全部やるべき

 非常事態宣言を出さずに済むとしても、感染拡大はしばらく続きます。国民の生活や経済は限界に来てしまうでしょう。それをどうするのか。
 今は現金給付か、減税か、お肉券かお魚券か、はたまたDJ券などという案も出てきています。勝谷さんなら「アホか、死ね!」と言いそう。

 全部やれば良いのです。安倍首相は会見で、現金給付について言及しました。しかし、それは「生活が苦しくなった人」という制限を付けるのです。どうやって?
 所得制限を付けるとなると、4月16日に確定申告が終わらないとわかりません。昨年の所得税と比較して決めることになるのでしょう。共働きで、片方は下がったのに、片方は同じだった場合はどうなるのか。世帯収入で見るのか。そんなこと迅速にできるでしょうか?実行力に乏しい政策なのです。

 では、どうしたら良いのか。
 まずは10兆円で全国民に現金を配る。次に10兆円分の減税を行う。そしてコロナが落ち着いてきてから10兆円分の商品券を配る。さらに、休業した店舗や所得が減った人に保障を行うとすれば良いのです。
 せっかく通常予算では何も決めず、補正予算をこれから組もうということなので、思い切った施策を打てるはず。まずは死なないように現金を配り、生活を戻すように減税し、落ち込んだ経済を盛り返すために商品券を出す。とにかくスピードです。


■若者に伝わらない理由

 先日、「若者への呼びかけはユーチューバーにやってもらった方が良い」と書いたところ、ヒカキンがやってくれました。そして小池都知事が反応していました。
<小池都知事 外出自粛を呼びかけのヒカキンに「感謝します」>
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2020/03/29/kiji/20200329s00041000154000c.html
<HIKAKINは28日、ツイッターで「若いみんなへ、ヒカキンより」と書いて、27日に公開したユーチューブのリンクを添付。ハッシュタグでは「#コロナ」「#新型コロナウイルス」「#うちで過ごそう」と添えた。公開したユーチューブの動画では、日本の現状について「新型コロナウイルスの爆発的な感染を防げるかの重要な分かれ目と言われています」とした上で「不要不急な外出は控えよう」と伝えていた。>

 これは良いのですが、私は最近「なぜ若者への呼びかけが伝わらないのか」を考えています。
 おそらく若者に対して「お前らが感染させるから、年寄りを守るために家に閉じこもっていろ」という指示になっているからでしょう。若者は感染しても問題無いということにしてしまっているけど、そうじゃない。
「あなた達も感染します。そして*%は死に至ります。だから、まずは感染しないように気をつけてください」ということを先に言わないと、「なんで俺らが知らないジジババのために家にいなくちゃなんねーんだ」となってしまうわけです。

 もうひとつ。「不要不急の外出を控える」という意味がわからないのではないか。ことばの意味が理解できないから、遊びや帰省で出かけるのではないでしょうか。
 私は最初これを聞いたとき、意味はわかったけれど、実際の生活におけるイメージは湧きませんでした。渋谷センター街で遊んでいるような若者に「不要不急」と言ってもイミフ(意味不明)と言われるのがオチです。

 これでどうでしょうか。
「あなたの命を守るために家にいてください」
「あなたが外に出ると感染するおそれがあります」
「あなたは感染したけれど、症状が出ていないだけかもしれません」

 そして「若者は症状が軽くて歩き回るから高齢者に感染させるおそれがある」のではなく、
「高齢者は家にいてください」
「若者は感染しても症状が軽い場合があります」
「症状がなくても他の人に感染させてしまうことがあります」
と言うべきではないでしょうか。若者より高齢者が、まずは家にいるべきです。知事や首相は、狭いアパートに住んでいる若者に「家にいろ」と言って、「ハイそうですか」と従うと思っているのか。


 形だけのポーズで、国民を鼓舞できる段階ではないでしょう。現実をしっかり見て、相手の心に突き刺すように訴えていかないと、本当の非常事態となってしまいます。


 マスコミは表向きの感染者数を扇情的に報道し不安を煽っていますが、考えるべきは感染者の中身であるはず。それと死者数の推移。それと感染経路の不明な患者。
 4月2日は衆議院本会議があります。宣言するとしたらそのタイミングが候補となりそう。首都封鎖は現実的でなく、可能性が高いのは国家非常事態宣言。これは安倍さんの発言の変化を見ながら推測していくしかありません。
 今私たちがすべきことは、一週間程度の食料や日用雑貨の備蓄を持つことだと思います。流通網が止まったわけではないので、一週間程度の備蓄があれば、家庭内の在庫が切れてしまうことはないでしょう。
 しかし、非常事態が宣言されるとトチ狂って買い溜めに走り、朝から長蛇の列をなす馬鹿者が必ず出てきます。そのパニックが落ち着いてくるのが一週間と見ると、備蓄もそれくらいで十分ということになります。


 では、昨日掲載するはずだった漆嶋さんのエッセイをお送りします。

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【学生さんに期待する】

 漆嶋稔(翻訳家)

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