2020年8月10日号。<山領まりさんを偲ぶ / 人間の人生は。が付かなければわからない / 読売の世論調査から見えること / 『心に沁みる掲示板のことば』第10回 「お盆」と掲示板のことば:江田智昭>

<山領まりさんを偲ぶ / 人間の人生は。が付かなければわからない / 読売の世論調査から見えること /  『心に沁みる掲示板のことば』第10回 「お盆」と掲示板のことば:江田智昭>

 おはようございます。ヨロンです。

 台風5号は東シナ海を北上しているといことで、現在(10日8時)九州の西側あたりでしょうか。今後は日本海を通って北海道を抜けていくようなので、九州北部や北海道では大雨・洪水にご注意ください。


■山領まりさんを偲ぶ

 昨日NHKのEテレで放映された「無言館の扉 語り続ける戦没画学生」(8月16日再放送)は、ご覧になった方からの感想もいただきました。
 番組は「無言館」がテーマなのですが、絵画修復家の山領まりさんの話でもありました。

 絵画の修復というと、2012年に話題になったキリストのフレスコ画の修復を思い出しますが、極力絵には手を加えず、これ以上傷んだり剥離などしていかないように補修するのが現在の手法だそうです。そのため、絵だけだと何も変わっていないように見えるけれど、キャンパスの裏の糸を一本一本張り合わせたり、カビやひび割れでこれ以上劣化しにくいようにしていく地道な作業が続きます。

 このあたりのことは、山領さんのことばが遺されています。
<山領まり(絵画修復家)・戦没画学生の絵を修復する>
http://asuhenokotoba.blogspot.com/2015/08/blog-post_66.html
<絵画の修復というのは、物を直すという観点から見ると、特殊なものとは思えないが、絵画の特殊性、世界中に一つしかないという観点から見ると、修復家がすべきことはその作品を子細に観察する事から始まる。
絵画を構造的に考えると、一番下に麻布、目止めをしなくては行けなくて、目止め材はにかわ、(現在は合成樹脂)、次に地塗り層があり、その上に絵具層が何層かあり、そのうえにニス層がある。
キャンバスの状態から最初に筆を置いた薄い褐色等が、あたり線(どういう言う構図にするかとか、鉛筆の場合もある)では多い。
その状態が想像できるぐらい観察しなければならない、そのうえでそれが今どういう状態なのかをきっちり掴む。
カビ、絵具がひび割れてある面積で落ちてしまったり、裏から破れたり、埃等様々なことが起きる。
現状をあまり大きく変えないで、劣化が遅くなるように手助けするのが、修復家の立場です。>

 山領まりさんは先月26日にお亡くなりになりました。
 窪島さんの言葉を借りると、画学生が遺した絵を保存してきた遺族が第一走者。そして窪島さんや山領さんが第二走者として、なんとか75年間絵を守ってきた。これから第三走者にバトンが渡されていくのでしょう。山領さんの工房ではスタッフが後を継いでいくのだと思います。
 窪島のオジキも体調は決して優れてはいませんが、現在娘さんが無言館の評議委員として活動をサポートされています。オジキは少し休んで、早く長野で飲み会ができるようになってほしい。

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