2021年6月29日号。<花房観音の輝いていない日々 第64回>

<花房観音の輝いていない日々 第64回>

 おはようございます。ヨロンです。

 すみません。思いっきり寝坊してしまいました。T-1君のことを笑えません。
 起きたら9時54分。これじゃ、間に合うわけありませんよね。
 都議選の中盤情勢とオリンピックを絡めた見通し、そして赤木ファイルを政権がどのように見ているのか、という話を書こうと思ったのですが、明日お送りします。申し訳ありません。

 昨日は朝から一日、日暮里のホテルで大きなイベントの配信業務を行っていました。
 決して血気酒会が楽だというわけではないのですが、ライブ配信は寿命が縮むような気がします。緊張感が半端ないので。

 今晩もやります血気酒会。
 今回は、土曜日配信担当の若松さんが半蔵門に来られます。そして、依田さんの日本酒講義のコーナーには、読者でもある鯉川酒造(山形)の佐藤一良社長がzoomで参加されます。佐藤さんはミュージシャンでもあるので、音楽の話もできたらいいですね。


【ライブ】晩酌動画:『新・血気酒会』vol.83 「元気ですか!/選挙にオリ・パラ、東京がアツい!/「庄内の風」鯉川酒造(山形)」

YouTubeライブ
https://www.youtube.com/watch?v=oODPTkFDEv4

Zoom
https://us02web.zoom.us/j/81378711791?pwd=MFg3MVgxWUlBWUZtL01idWkrT1lzUT09


 おなじみの半蔵門「にじゅうまる」。もう1年以上行っていないのですが、店の前を通るたびに「無事でいてくれよ」と祈るように入り口を覗いています。なんとか生き延びてくれているようですが、この1年、どのように乗り越えてきたのか、そろそろ居酒屋探訪を始めたいものです。
 それでも、今のマンボウが開けないとなかなか行く気持ちになれませんね。
  はたしてどうなるのでしょうか。

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花房観音の輝いていない日々 第64回


 緊急事態宣言あけて、さっそく居酒屋に行きました。
 午後4時半に行ったので、誰もいない。ひとりでビールと焼き鳥とだしまき頼んで、さくっと飲んで帰ってきました。
 久々の居酒屋飯は、感動するほど美味しかったです。
 外でこうしてお酒を飲んだのは、誕生日以来だから、三ヶ月ぶり。
 でも、誰かと飲むのは、もうちょっと先かな。


 もちろん、宣言下でお酒を出している店があるのも知っているし、知人でも集団の飲み会の写真をUPしてる人もいますが、私はやっぱり感染するのも感染させるのも怖いから、楽しんで飲めないのは嫌なのです。しばらくはひとり飲みが続くでしょう。
 飲まないのはともかく、実家に帰れないのと、仕事の取材ができないのが難儀です。
 でも、ちょっと光明が見えてきました。
 先週、第一回目のワクチンを接種してきました。ファイザー社製です。
 え? なんで65歳以上でもないのに? なんかズルいことしたの? と、疑われそうですが、全くそんなことはありません。
 京都で、高齢者枠の空きができたところに接種券がなくても京都市民なら身分証明書で申し込めると友人に聞いて、予約して打ってきたのでした。
 記入した問診票と身分証明書のコピーを持って会場に行き、待ち時間もなく、あっさりと打ってもらいました。痛みはほぼありません。プラセンタ注射やニンニク注射のほうが痛い。
 その夜は、特に副作用もありませんでしたが、翌日、打ったほうの腕が痛かった。でもそれも一晩経つと治りました。
 両親も妹(医療従事者)も二度目のワクチン接種済みで、母親は副作用皆無で、父は二度目の接種後に微熱が出たのと、妹は翌日ちょっと怠くなったとは聞いていました。
 三週間後に、二度目の接種をしますが、ホッとしています。
 7月17日に京都大丸で、山村美紗さんの夫の巍さん&後妻の祥さんとトークショーがあるので、それに間に合ってよかった。巍さんもワクチン接種したみたいだし。
 もちろん、100%ではないのは承知していますが、リスクが軽減することで、多少は取材もできるかなと気持ちが軽くなりました。
 64歳以下の、ワクチン接種情報は、作家で医師の知念実希人さんがtwitterで熱心に発信しておられるので、そちらを参考にされるのがいいかもしれません。
 今出ている週刊文春に、ワクチンについて、ファイザーとモデルナの違い等、わかりやすい情報も載っています。
 正直、オリンピックの開催によって、感染者はまた増える予感がビンビンなので、まだ自由に動くのは様子を見ながらではありますし、マスク、手洗いの生活はまだ続きそうですね。
 私もまだまだ、ひとり飲みです。


 半年ぶり、実は今年はじめて、本が出ます。
 単行本の文庫化ですが、7月7日、七夕の日に文春文庫より「色仏」発売です。
 舞台は江戸末期の京都、仏師を志す男・烏(からす)は、食うために女の裸の像を造るのを生業にしているが、烏が焦がれるのは、生身の女ではなく、故郷・北近江の観音像だった。
 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167917241


 初めて書いた、時代小説です。
 このあと、「半乳捕物帳」とか出してるけど、最初はこれですね。
 江戸時代の京都に関する資料が少なかったのを覚えています。江戸の資料って、東京、江戸のほうのばかりなんですよね。
 私のペンネームの由来にもなった、琵琶湖のほとりの十一面観音像をめぐる物語です。

 今年最初の本だけど、サボっていたわけでは決してなくて!(むしろ、めちゃくちゃ仕事しとる)、8月には単行本、10月には単行本(エッセイ)と文庫、11月にも文庫、12月には書き下ろし長編単行本と文庫と、アホみたいにガンガンこれから本が出るから! 買ってください!
 二度目のワクチン接種し終えたら、次なるノンフィクションのほうへの取材もすすめようと思っています。(←西日本出版社、内山社長への私信)
 ちなみに「色仏」の単行本を出したのは2017年5月でした。
 勝谷誠彦の兵庫県知事選挙活動真っ最中。三宮の事務所に行ったときに、「そういえば、新刊届いてた。文春(文藝春秋)かー。いいなー」とか言われて、「いいなーとか言ってるけど、お前もとっとと書けよ。文春からも本を出せって言われてるだろ、知ってんだぞ」と思いながら、もやもやしつつ、その言葉をぐっと抑えた覚えがあります。知事候補だったし。
 あれから4年。
 生きている者の時計はすすみ、こうして時間の流れを感じることも、これから増えてくるんでしょうね。
 告知してなかったけど(忘れてた)、今、発売中の「実話ナックルズ ウルトラ」vol.15の連載「おんなの旅」で、芦原温泉のことを書いているのですが、そこに勝谷さんについてもふれています。名前は出していないけど、誰が読んでもわかるようには書いてあります。


 先日は、ものすごく久々に大阪にも行ってきました。
 前回は、いつ、なんで行ったのかも覚えていないぐらい、久しぶりです。
 大阪なんばのロフトプラスワンウエストで開催された「梅雨どき、ドキドキ怪談まつり」への出演でした。
 緊急事態宣言中ということで、無観客、配信のみのイベントです。主催はホラー作家の田辺青蛙さん、私の他のゲストは朱雀門出さん、最東対地さんと、私以外は角川書店の日本ホラー大賞受賞作家たちばかり。
 ちなみに朱雀門さんは、長浜バイオ大学の先生でもあります。
 ロフトプラスワンウエストには何度も出演していますが、無観客というのは初めてで、不思議な感じでした。
 みんな顔見知りでもありますので、流れに身を任せましょうと、壇上にあがり、時間になったら自己紹介して、次々に話はじめました
 あんは話や! こんな話も!
 そんな中で、最東さんが語るエピソードで、琵琶湖の「幽霊ホテル」の話が出てきました。
 思わず、懐かしい~と口にしてしまいます。
 琵琶湖の幽霊ホテル、ご存じの方はいらっしゃいますでしょうか。
 正確にいうと、建設途中のホテルがそのまま長く放置され廃墟と化したもので、ホテルとしての経営はしてなかったんですよね。
 私が大学生になり、アルバイトで学生ガイドをしようとした頃、研修でバスで琵琶湖周辺をまわり、「なんじゃこりゃ~」と印象に残ったもののひとつが、この幽霊ホテルでした。周りは何もなくて、ぽつんと立つ大きな廃墟。
 そしてもうひとつ印象に残ったのは、雄琴のソープ街です。「鎌倉御殿」という立派な建物が見え、鎌倉出身の先輩が冷やかされていました。
 雄琴のソープ街は健在ですが、幽霊ホテルは私が学生のときに、爆破して解体されました。家に帰ってから、YouTubeで当時のニュース映像を探したら、爆破時のものがやはり残っていました。見学者がたくさん来て、屋台まで出てたのですね。
 今だったら、私も見に行ってたかもしれません。
 3時間、流れるように怪談話で盛り上がり、コロナ禍の中、打ち上げなどもなく、とっとと京都に戻りました。
 久しぶりの大阪でしたが、飲食店などの空テナントがたくさんあり、やはり暗い気持ちになりました。怪談より、この状況のほうがこわい。
 小説のほうでも、この前まで、短編ですが怪談に取り込んでいて、来月にはどこかの文芸誌に載る予定です。

 先日、ふと、読んでみようかという気になり購入したのは、田中康夫さんの「新装版 なんとなく、クリスタル」。ご存じのように、文藝賞を授賞し、ブームを巻き起こした小説です。なんで読もうとしたのかは、本当に「なんとなく」。以前、読んだことがあるはずだけど、それもずいぶん前だったので、自分が今読むとどう感じるかに興味がありました。「東京ペログリ日記」を読んだからというのもあるけれど。
 そしてこの作品が世に出たのが40年前だということに、驚愕したのです。
 バブルの前だから、そりゃそうか。
 私はまだ、小学生のときで、田舎の子どもだったから、全く無縁の世界です。
 そして令和の今、読み返して、本当にこれほど「時代」をすくいとった作品はないんじゃないかと思いました。
 東京という街で、豊かな暮らしを享受して、若さを満喫する者たち
 私がもっと若い頃に読んでいたら、嫌味だなと思ったかもしれない。でも、ここに描かれている豊かさは、今もっとも遠いもので、羨望すらできないほど手の届かない場所にあります。だから今がダメなのだとかは思わないし、豊かさには豊かさの弊害があるし、どう転がったって、自分が住めない世界ではあるけれど、でも、「日本」という国の公式な記録には残らない、けれど確かに存在した景色が、こうして小説として残っていることが、貴重です。
 そして、なんだか、すごく切ない読後感がありました。
 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309412597/


 まだまだ輝いていない日々ですが、テレビのロケも再開されるっぽいけど(KBSテレビにたまに出てます)、暑いし、とにかく地味な生活は続きます。

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