2022年6月23日号。<参院選公示 関心が低くても見どころはある / 「知る人ぞ知る参政党について」:倉山満>

<参院選公示 関心が低くても見どころはある / 「知る人ぞ知る参政党について」:倉山満>

 おはようございます。ヨロンです。

 岡山から帰ってきました。
 昨日は参院選の公示日だったので、岡山の候補の第一声を撮影してから帰路につきました。

 コロナが流行りだしてから、新幹線の2人席の片方を予約すると、もう片方の隣は必ず空いていました。昨日もそのつもりでいたところ、電車内はそこそこ混んでいて、なんと京都から隣に乗ってきてしまいました。
 考えてみればコロナ前はそれが普通だったのに、昨日は怒りが湧いてきてしまいました。「他に空いているところあるんだから、そっちに座れよ」と。もちろん、彼には何の落ち度も無いのです。

 夕方東京駅に着くと、ものすごい人混み。いや、これもコロナ前と比べれば、まだ混雑とは言えないレベルかもしれません。それでも、自分のことを棚に上げてイライラしてしまいます。「混みそうな時間帯に出かけてるんじゃねえ」と。疲れているのかもしれませんね。
 経済的に見れば良い傾向なのでしょう。それでもマスクをしている人たちが(私もしていますが)ものすごく混雑している状態は、やはり異様に見えます。「マスクがパンツ化している」などという表現もありますが、いつまで続くのか。

 昨日のT-1君のタイトルは酷かったですね。何で「Re: 」が最初につくのか?(笑)「ボーッとしてんじゃねーよ」と言いたくなります。かなり焦っていたのでしょう。自分も気をつけなければ。

「ボーッと生きてんじゃねーよ」というとチコちゃんですが、まだ番組は続いているんですね。先日高野登さんと話していたところ、毎回見ているというので、「まだやっているんですか?」と驚いて聞いてしまいました。

 チコちゃんというとCG技術。一時期CGチームの負担がかなり大きくなってしまい、番組のコーナーをひとつ潰して、チームに夏休みを取らせたことがありましたよね。

 NHKは、たまに驚くような番組をやるので、私は応援しています。経営に問題はあるかもしれませんが、ぶっ壊さないで欲しいと思います。
 一昨日紹介した『100カメ』はご覧いただけたでしょうか。青ヶ島に100台のGoProを仕掛けて撮った映像は、合計で2000時間以上。それをスタッフが全部確認し、シナリオを作って編集。最終的に30分の番組にします。

 私はNHKプラスで見ました。番組に出てきた場所はほとんど行ったところで、山田アリサさんの家であおば君とかほちゃんとご飯を食べたのが、この収録の3日後だというのは、何か感慨深いものがあります。

 青ヶ島への「島留学」は今年も募集を始めていて、募集サイトは迂闊屋Dが作りました。
https://aogashima.net

 まだ応募は無いそうなので、もし関心のありそうな知り合いがいたら、ご紹介ください。
 トップページに20枚の写真を並べたカバー写真がありますが、この右側の4人並んだ記念写真に、ちゃっかり私が写っています。このときは、まだ“あおば”と“かほ”の2人だったのですが、このあとすぐに中3の“さねみち”が合流して、現在は3人になっています。また行きたいなあ。

「100カメ」はあまりにもスタッフの作業が過酷だということで、1クールだけで終わってしまいました。それでも秋以降にまた始まるようなので、期待しましょう。そんな無茶なことをやるNHKも好きです。

 さて、参議院選挙。以前、「公示」と「告示」の違いを説明した記憶がありますが、政治関係者でも間違えることがあります。

「公示」を使うのは、【天皇の国事行為】を伴う衆議院の総選挙と参議院の通常選挙のみ。衆参各議院の再選挙や補選では「告示」を使います。その他の知事選挙や首長選挙、地方議会選挙はすべて「告示」です。明確な基準があるのです。

 今回の参議院選挙は関心が低く、低投票率ではないかと言われていますが、見どころはいろいろあります。

 まず、立候補したのは選挙区(定員75)に対して367人。比例区(定員50)に対して178人の計545人となっています。

 参議院の比例区というのは衆議院と違って「名簿順」というのはありません。投票時には政党名もしくは候補者名を書くことが出来ますが、この総数から政党の議席が決まります。そのうち候補者名の多い順から当選が決まります。
 たとえば、「勝谷誠彦」という候補者が自民党から比例区で出たとします。投票時に「勝谷誠彦」と書かれた票も、まずは自民党票として計算されます。
 自民党票が20議席確保できたとしたら、次は名前の多い順に当選が決まっていきます。「勝谷誠彦」と書かれた票が、自民党の候補者の中で多い方から20番目だった場合、当選となります。

 しかし、2018年の公選法改正で、比例には「特定枠」というものができました。これは、島根と鳥取、そして徳島と高知が「合区」として一つしか議席が無くなってしまったことの救済措置となっているのです。たとえば「今回は島根から候補を出して、鳥取は特定枠で当選させよう」というように、合区となったところからも二人の議員を出せるように、無理やり自民党のための作った制度です。

 この「特定枠」は、使い方の制約はないので、別に合区対策でなくとも構いません。れいわ新選組では、比例区で「山本太郎」と書かれる票が一番多いことはわかっているために、この特定枠を使って、どうしても当選させたい人を入れています。今回は重度障害者の天畠大輔氏(立命館大学研究員)が特定枠の候補となったので、れいわ新選組の比例区の議席が一つ取れれば、天畠氏が当選となります。

 女性候補者が3割を超えたことも話題となっています。特に比例区はユニークな候補も多く、野次馬的な見方もあるのですが、かなり注目されています。
<比例代表オンナの戦い“全当落” 自民・今井氏は松葉づえで全国行脚 立民・辻元氏「もう1回国会に…」 「知名度で稼げば政党の票も伸びる」識者>(ZAKZAK)
https://www.zakzak.co.jp/article/20220622-C3Y47KZ2SVPFNH53YBGXY5LOFU/

 女性候補者が3割を超えても、おそらく当選するのは全体の2割程度となりそうです。個人的には、女性候補は5割を超えても良いと思っています。それで議会構成として女性が4割を超えれば、かなり多様性のある意見を取り上げることができるようになります。
 それでも、女性が増えたからといって、すぐに“おっさん”政治が変わるということではありません。神奈川県の大磯市議会は女性議員の方が多いという珍しい議会でしたが、だから女性優位の政治が行われているということでもありませんでした。当然のことですが、要は“人”ですね。。

 今日の倉山さんの話は「参政党」。参院選の注目ポイントのひとつです。5月16日号で私が紹介しましたが、それを別の切り口で解説してくれています。「勝谷メルマガ」読者は偏っていないけれど、ほとんど知っているわけですから、倉山さん、ビビってください(笑)

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「知る人ぞ知る参政党について」

 倉山満(憲政史研究者)

私、自分でもメディア持ってんですが、
誠論酔藝(今でも勝谷メルマガと呼ぶ)ほど
自由に書けるメディア無いなあ。
と感謝しつつ、毎回ネタを探しています。

今回のネタは参政党。
この件、他のメディア書くと、
まあ色々としがらみがありまして。
いちいち説明しませんが、読者層の関係で。

ということで、勝谷メルマガでしか書けない
参政党の話。

そもそも参政党って、知っている人
どれくらいいるんですかねえ。
勝谷メルマガが
「そんなん知ってるよ!」みたいな人ばっかの
偏ったメディアだとビビりますが。(汗

逆に、「そんなん知らねえよ」という
普通の人の集まりだと、安心なので、
そのつもりで説明します。

参政党というのは、党首がいなくて、
5人のボードメンバー(世話役)がいる
新しい政党です。
投票したい政党が無いなら、自分で作ろう!
と結成し政党です。

と、なんで私が詳しいかと言うと、
誘われたからです。

ボードメンバーの一人の
神谷宗幣事務局長とは古い付き合いで。
出会ったのは2012年正月。
当時まったく無名の
小川榮太郎(自称文藝評論家)が
プロジェクトAという活動を始めており、
私も頼まれて手伝っていた。
プロジェクトAというのは
「安倍救国内閣を作ろう」と言う動き。
当時、保守言論人の間で似たような話が
同時多発的に行われていて、その一つ。
もっとも「安倍救国内閣」の真ん中の二文字が
消えていった人がほとんどすべてでしたが。

そうした中で
小川(現在は裁判所認定文芸評論家)の紹介で
出会ったのが、神谷氏。
吹田市議会議員。
龍馬プロジェクトという
地方議員の集まる会の会長だった。

ネット放送局を作りたいというので、
これまた手伝い、1年くらい
CGS(チャンネルグランドストラテジー)という
ネット放送局をやっていた。
そもそも、CGSの名付け親が私。

その後もつかず離れずというか、
向こうが思い出した時に呼ばれる、
みたいな関係が何年も続いていた。
神谷氏は選挙に出たり出なかったりを繰り返し、
結局どの選挙でも受かることなく、
今に至る。

ただ私が言っていた
「近代政党」に関しては
「作りたい!」と言っていた。

そして、そのCGSが発展し(途中省略)、
参政党の立ち上げに。

ボードメンバーとして
神谷事務局長の他に、
KAZUYA(YouTuber)
渡瀬裕哉(救国シンクタンク理事・研究員)
松田学(元次世代の党衆議院議員)
篠原常一郎(評論家・元日本共産党職員)

私自身も
「党首は誰がいいですかねえ」
「ボードメンバーになってくれる人いませんか」
などの相談は受けたけど、
自身でかかわるのはお断りした。

最終的には、
「陰謀論やネットワークビジネスに対し
 毅然とした態度をとれないなら不可」
と伝えた。

この経緯、興味がある人はこちらを。
https://office-kurayama.co.jp/?p=292789

小さな保守業界の内ゲバと言ってしまえば、
それまで。
KAZUYA&渡瀬の二人は離脱。
陰謀論を振りまきまくった篠原氏も
ボードメンバーからは引いている。
篠原氏は実際に引いているかは知らんけど、
渡瀬&KAZUYAは完全に引いている。
この過程で二人から相談にあずかっている。

そして新たなボードメンバーは
神谷・松田の他に以下の三人。

武田邦彦 中部大学元教授
吉野敏明 歯科医
赤尾由美 アカオアルミ会長

武田さんはテレビにも出ていましたね。
物理学者。

吉野さんはよく知らないけど、
コロナでとんがったことを言っていて
ネットではそれなりに人気があるらしい。

赤尾さんは赤尾敏の姪ということなのだけど、
本業は実業家。
1円玉を作っている会社を長年経営していた。
50億くらい借金があったのを
立て直したんじゃなかったっけ。
よく知ってますよ。

さらに言うと、松田さんは
次世代の党でお世話になった。
元大蔵官僚。

確かに「近代政党」を目指しているのか
党事務局と組織づくりを最優先。
党員の衆議で候補者を決め、
政策も党員の合意で決める。
組織と政策を優先で、
議員は後回し。

政党の色としては、ド保守。
しかも、突き抜けたド保守。

党として訴えているのは、
反グローバリズム。
話から察するに、
「国際グローバル金融資本」が
世界を牛耳っているので、
それに対抗するナショナリストの政党を
打ち立てたいらしい。

まあ、一部はわかるけど、
それを全部やると「鎖国」になる。
不可能。

一番わからないのは、
「国際グローバル金融資本」って誰?
この辺りはさっぱりついていけない。

そんな参政党が
「一議席くらい獲るんじゃない?」
と言われるようになった。

3年前、れいわ新撰組が2議席獲った以上に、
NHK党が1議席を獲ったので、
多くの人が衝撃を受けた。

当時のN国は、
地方議員を片っ端から当選させて地盤を養成。
全国の選挙区に「捨て駒」として候補を擁立、
票を掘り起こし。
結果、全国から比例票をかき集めて
立花隆志党首が当選!

N国が
「NHKをぶっ壊す!」の
シングルイシューなのに対し、
参政党は網羅的。
具体的にはよくわからないけど、
演説を聞くと保守っぽいことを突き抜けた
反グローバリズムをやりたいのはよくわかる。

参政党は、地方議会選挙では
現職を立てたのに落選、
みたいな地獄絵図でした。
2年前は。

ところが、全国キャラバンと称し、
ボードメンバーの5人が各地で遊説。
これがコンサート並みに人が集まる。
党大会を開いたら、自民党並みの集客。
最前列なんて10万円なのに完売。
党員数は5万人を超え、維新すら凌駕。

徹底的に「ネトウヨ」
しかも突き抜けた「ネトウヨ」に訴求する
アピールに徹している。

しかし、これだけ勢いがあるのに、
YouTubeの再生回数が、せいぜい十万単位。
登録者数も数十万。
そこまで凄い訳じゃない。

日本維新の会の足立康史議員が
2021年6月19日11時31分のツイッターで

新潟に来ました。幸福の科学の幹部が参政党を応援している様子を目の当たりにしました。凄いね。

とか書いちゃう。(笑)
さらに11時47分には

今回の参院選で、幸福実現党が音無しい理由が分かったような気がします。結局、戦後の日本政治は、財界、労組、宗教団体、共産党が陣地調整してるだけ。維新が嫌われる所以です。

と連打。
Twitter民に「何が凄いのですか」と聞かれ、

揶揄です。(11時48分)

さすが、あだちゃん! 確信犯!
とか感心してる場合じゃない。

まあ、尋常ではない動員数、
幸福の科学が裏にいるなら納得ですが、
よくわからん。
また、仮に何人か当選させたとして、
その後の国会活動で何ができるか。

世の中には
衆議院議員を96人も抱えていて
与党に一太刀すら浴びせられない方々もいますし。

さて、私が参政党の話で何が言いたいか。
立民、維新、国民は何をやっていたのか。

一般知名度ゼロ。国会議員ゼロの
単なる政治団体が、全国遊説をしたら
街頭を聴衆で埋め尽くす。
党員数は5万人超え、
資金は何億も集まっている。
何より、全国の選挙区に候補者を立てているのは
自民党と参政党だけ。

仮に宗教団体が後ろにいるとしても、
既成野党にできない理由はない。

参議院選挙の結果がどうなるか、
今の時点ではわかりませんが、
来年の4月には統一地方選があります。

結局、政党活動の基本を見直すべきでは?
国会質疑でテレビの前で目立つ。
あるいは与党との駆け引き、
議員の数合わせで主導権を握ろうとか、
そういうことをやめた方がいい。

参政党、
ついていけないからかかわってないんですが、
見習うべきは他の政党も見習うべきかな。

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