2020年4月23日号。<コロナ騒動と山本五十六:倉山満 / 安倍首相による純国産マスク批判の舞台裏>

<コロナ騒動と山本五十六:倉山満 / 安倍首相による純国産マスク批判の舞台裏>

おはようございます。ヨロンです。

昨日は、昼に新小岩まで行ってきました。新小岩というのは、都内から見ると荒川の“向こう”なので、千葉県のように思えますが、江戸川の“こっち”なので、東京都葛飾区なんですね。尼崎と同じ感じかな、などと書くと怒られそうですが。
4月にオープンするはずだったカフェがオープンできず、離れたところにいるスタッフや支援者と会って打ち合わせもできないので、zoomを教えて欲しいと知人から頼まれて行ってきたのです。もちろん、仕事として。
新小岩駅前は閑散としていましたが、商店街はそこそこ人が出ていました。オープンするはずだったカフェはビルの2階にあり、窓を開けてオーナーと知人とそれぞれ2mほどの間隔をとりながらの勉強会となりました。

飲食店はかなり危機的な状況にあり、なんとか4月は乗り切れても緊急事態宣言が6月まで延長されるとなると、相当数が立ち行かなくなります。問題は人件費と家賃。先日も書きましたが、特に都市部では、家賃が店の存続を決めます。この話は、また後日にでも。

ちなみに、相変わらずセキュリティの不安を指摘されるZoomですが、着々と強化されてきています。
<Zoom、会議データの保護や改ざんの対策で暗号機能を強化~AES 256-bit GCMをサポートした新バージョンを週内リリース>
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1248975.html
他にもいろいろなオンライン会議ツールはあります。CiscoのWebEXというシステムも使ってみたいのですが、今のところZoomが一番使い勝手がよく可能性もあるので、しばらくこれをメインにしていきます。

今日は木曜日なので水島二圭先生のコラムの日ですが、今週だけ一日ずらします。今日は倉山満さんのコラム。そして明日が水島先生となります。すみません。

本日、『新・血気酒会』を行います。
【ライブ】晩酌動画:『新・血気酒会』vol.30 「うちで呑もう!あの人に伝えたい映画1本」
2020年4月23日(木)19時~

今回のテーマは、「あの人に伝えたいオススメ映画一本」。これはT-1君からの提案です。17時ぐらいまでにオススメ映画とコメントを
stealth@seironsuigei.jp
まで送っていただければ、できるだけ紹介させていただきます。
勝谷さんはほとんど映画を観なかったので、今回は(今回も?)勝谷色は薄くなります。

zoomでの参加を希望される方は、開始時間にこちらまでアクセスしてください。
https://zoom.us/j/96239979368?pwd=bUZFSVFFVFRIK0h1MUFBMFhzTS9uUT09

視聴だけ希望される方は、いつものようにYouTubeとFacebookでどうぞ。
今回は音声を少し改善し、コメントも丁寧に読むようにします。
YouTubeライブ
https://www.youtube.com/watch?v=l-a0sRM4yyg

Facebookライブ
https://www.facebook.com/katsuyamasahiko/live/

マスコミに出ない話題を。
先日の首相会見で、朝日新聞記者のマスク2枚についての質問に、安倍首相が「御社のネットショップでも布マスクを3300円で販売していたのを承知してますが」と皮肉まじりに応えたことがネットで話題となっていました。テレビではこの部分はカットされていたようですが。
もともとこのマスクは、朝日新聞が「アベノマスク」批判を始めたときに、安倍首相の支持者を中心に「朝日もネットで高額マスクを売っているじゃないか」と批判が出て、朝日新聞サイトでの販売が中止になったというものです。
その後、このマスクがかなり高機能のもので、泉大津市(大阪府)の老舗企業で手作りされている純国産品であることが報じられました。ここまでがマスコミに出ている話。

官邸スタッフの誰かが、ネットで話題となっていた泉大津市のマスクの話を安倍さんに仕込みました。ネトウヨのネタをそのまま首相に流し込んだのです。
ところが、このマスクを生産している泉大津市の南出賢一市長は、「龍馬プロジェクト」という保守派政治家グループの幹部。龍馬プロジェクトは、有名どころでは鈴木英敬三重県知事もメンバーとなっていて、国会議員参与として杉田水脈衆議院議員も名を連ねています。私も、代表の神谷宗幣氏とは対談もし、『ザ選挙』を運営していたころは何度も会っていました。

ここで官邸が慌てました。なにせ、この龍馬プロジェクトは、安倍さんが第二次政権で復活するときに、自民党青年部と一緒に動いた立役者なのです。そこの幹部でもある南出賢一市長の顔に泥を塗り、泉大津市で高機能マスクを手作りしている老舗企業のモチベーションも下がってしまいました。

これは安倍さんも、朝日新聞だということで安易に乗って皮肉を言った浅はかさがあるのですが、「朝日は政府のマスク批判していますが、自分では高額マスクを売ってまっせ」とネットの話題をそのまま流し込んだ官邸スタッフがいます。
今回は、慌てた官邸スタッフが動いてなんとか修復した形にできましたが、実情は官邸側から泉大津市に謝罪をしたことになります。

話は少しそれますが、この龍馬プロジェクト代表の神谷宗幣君が、保守系ユーチューバーのKAZUYA氏らとともに、新たな政党を立ち上げました。
参政党
https://www.sanseito.jp/
メンバーが濃すぎるので、そのうち再度取り上げることになるかもしれません。マスク騒動がこんなところにも繋がっているということを考えると面白いですね。

そして、リーダー論は今日の倉山満さんのコラムにも繋がります。
哲学と歴史の教養。自分に足りないものです。しかし、国のリーダーにはしっかりと持ってもらわないと、日本が潰れてしまいそうです。

倉山塾
https://www.sanseito.jp/

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コロナ騒動と山本五十六

倉山満(憲政史研究者)

今日は歴史の話。哲学の話でもあります。
などと、勝谷さんと話す口調で書いてみる。

物騒な世の中ですね。
「このまま何もしないと42万人が死ぬ!」
というお医者さんの意見に従い、
我が国は「なんちゃってロックアウト」を全国に広げました。

例のお医者さん、たぶん善良な人なんでしょうね。
児玉源太郎くらい。
もしかしたら山本五十六くらい愚劣な人間の可能性も否定しませんが、
まあ話を進める都合とりあえず性善説で。

そりゃ、お医者さんからしたら、
「人を一人も死なせたくない!」「伝染病を根絶したい!」
は本能でしょう。
だから、
「2週間くらい、人の流れを止めてくれ!」
「まだ駄目だ!もう2週間だ!」
と言いたくなる気持ちはわかります。

悲観論では
「1年で終わるのか?」
「アメリカでは2年かかると言っているぞ!」
という、途方もない数字が出ています。

お医者さんからしたら、
「その間、経済が止まろうが、人の命の方が大事だ」
「補償は政府が考えてくれ!」
と言うでしょうよ。
仕事柄。

ここで、今の日本政府の御仁は
「専門家が言うのだから、そうしよう。とりあえず」
と、「ロックアウトもどき」をしました。
でも、専門家だって誰だって、正解を知らない状態です。
お医者さん達だって、「仮説に基づく実験」を提唱しているにすぎないのです。
実験は失敗することが前提です。
という程度の理解、今の政治家や官僚の皆さん、しているのですかねえ。

医療と軍事は無限大の金食い虫です。
医者や軍人が「納得がいく状態」を目指したら、未来永劫終わりません。
現実には、終わる時は破滅した時です。
だから、どこかで止めねばなりません。

戦前の日本は、無限大に軍事費を費やしました。
敗戦時、国家予算の9割を投じました。
負けたので終わりました。

幕末以来、大陸国家の脅威にさらされ続けました。
朝鮮半島を清やロシアに取られたら、日本の安全は保てません。
だから日清日露戦争を戦いました。

日清戦争は、朝鮮から清を追い払う戦いです。
日露戦争は、「せめて北緯39度線の南に来ないでくれ!」という日本の頼みを
ロシアが無視したので戦いになりました。
ちなみに38じゃないです。北朝鮮の真ん中あたりの39度線です
え?じゃあ、今の日本は慢性的危機じゃないのと気づいた貴方!
その通りです。
が、今日はその話じゃないので、それはまたの機会に。

とにもかくにも朝鮮をとりました。
さらに日露戦争で南満洲まで取りました。
ロシアがソ連に代わり、驚異となります。
そこで北満洲も取ってしまわないと安心できない!
と満洲事変で満洲全域を勢力圏とします。

ここでやめておけばよいのに、
「満洲を守るには北支だ!」
「北支だけじゃなく支那全域だ!」
と支那事変をはじめ、
「イギリスがミャンマーから支援しているから支那事変が終わらない!」
「イギリスの背後にはアメリカがいる!」
とどんどん戦いを広げていきます。

だれも止める人がいませんでした。

ちなみに、小説や映画では
なぜか悲劇のヒーローとして描かれるのが山本五十六。
阿川弘之さんの小説を読んだ方は反発するでしょうが、
あれ完全なフィクションです。
ああいう山本像は研究者には完全に否定されています。

というと「お前はアンチ五十六だからそういうこと言うのだろう」
と思われて聞いてもらえなさそうなので悪口はやめて、
五十六の功績を検証します。

山本五十六の名声は、言うまでもなく真珠湾奇襲攻撃の成功です。
これこそ、山本五十六を「愚劣」と断じる事例です。
複雑な話を全部ぶった切って話します。

五十六は、「アメリカと戦うにはこれしかない!」
とそれまで海軍が40年間準備してきた作戦を捨て、
一からハワイ奇襲作戦を立案します。
悲壮な決意で、徹底的な悲観論に基づいていました。
あらゆる希望的観測を捨てて準備したので、成功したのは確か。
ところが、致命的な欠陥がありました。
奇襲作戦が成功した時のことを何も考えていませんでした。

参謀は「ハワイを占領しましょう!」と進言したのですが、
というか最初からそういう計画だったのですが、
五十六は「それは無理だ」と却下してしまいます。
じゃあ、何のためにハワイを攻めるのか。
一時的にアメリカ海軍に打撃を与えましたが、
ハワイで再建を許してしまいました。

山本は予想外に悪化した時のことは考えていましたが、
予想外に好転した時のことを何も考えていません。
だいたいトップたるもの、上策・中策・下策を考えるものです。
最も蓋然性のあるシナリオが中策、悪化したら下策、好転したら上策です。
幅を考えないと合理的な思考ではありません。

「阿川史観」では、精神論で楽観論ばかりを繰り返す論者に対し、
山本は合理的精神の持ち主と描かれます。
が、山本も裏返しにしているだけで、不合理な思考しかしていないのです。

山本五十六の悲劇は、統御してくれる上司――総理大臣がいなかったことでしょうね。

医者にしても軍人にしても他の職業の人にしても、
えてしてプロフェッショナルとして優れている人が
視野狭窄になるのは仕方ありません。
ある種の職業病です。
では、その根源が誰にあるかというと、
戦前日本においては児玉源太郎と思っています。

言うまでもなく、日露戦争の英雄です。
乃木大将も誰も落とせなかった203高地を攻略した、
大英雄です。
司馬遼太郎さんは、これでもかと持ち上げていますね。
でも、児玉は長生きしたら、司馬が忌み嫌った通りの
昭和の軍人のハシリのような害悪になったでしょうね。

まず日露戦中から、
時の桂太郎首相が作戦に口出しするのを嫌う。
半分無血クーデターに近いようなことをやろうとして阻止されています。
戦後は超~タカビー。
筆頭元老の伊藤博文に舐めた態度。
同じく元老で、陸軍最長老の山県有朋相手にも
「満洲の事は俺が仕切る!あんたが口出すな!」
みたいなこと言い出す。
そりゃ、日本を救った英雄で誰も文句を言えないんだから、
そうなっても仕方ないですよね。

しかし、戦時中の桂は、
そんな児玉を統御します。
「作戦は基本的に任せる。ただし、本当に言うべきだけは言う。
財政のことは政府が工面する。
しかし、国民に増税で負担を強い、外国から借金もするんだ。
無尽蔵ではない。
そして、戦争をいつやめるかは俺が決める。
それを判断する材料は、正直に伝えよ」

桂は自分の後継者を児玉と考えていて、
「総理大臣になるには、大局観を持たなきゃダメだぞ」
という教育をしようとしていたそうですね。

外国の例ですが、
フォークランド紛争の時の挿話があります。
サッチャー首相が開戦を決断する時の会話。

サッチャー「戦争すれば勝てますか?」
参謀総長「勝てます」
サッチャー「じゃあ、やります」

本質的には、専門家と責任者の会話はこれだけです。
最高責任者たるもの、専門家に何を聞かねばならないか、
専門家の話をわかり決断をする為には何をW飼っていなければならないか、
の勉強をしていなければなりません。

今の日本だと、本当に安倍首相が
「これは戦争だ!」
と言うなら・・・。

「コロナの封じ込めには失敗した。
緊急事態宣言を続ければ経済が死ぬ。
ならば、コロナで死ぬ人間と経済で死ぬ人間の数を
最小限にするにはどうすればいいか?」
を考えねばならないはずです。
ところがお医者さんに「このままだと42万人死にます」と言われたら
「じゃあ、封鎖を延長しようか」となり、
「経済はどうしてくれるんだ?」と怒られると
「財務省からとれるだけとってきます」みたいな話になる。

台湾やスウェーデンは日本みたいな「なんちゃって封鎖」すらしないで、
抑え込みに成功しているという事例があります。
42万人死ぬという悲観論もあれば、そんなに死なないという楽観論も、
両方検討しなければ合理的ではないはずですが。

こういった知識の上で思考をめぐらすことを「哲学」と言います。
今の日本、人の上に立つ人に哲学が無い、歴史の教養が無いのでしょうね。
じゃあ、自分が勉強するしかない。