2022年2月17日号。<誰でもわかるWeb3.0 日本のど田舎からの革命? / 今頃になって初夢:倉山満>
<誰でもわかるWeb3.0 日本のど田舎からの革命? / 今頃になって初夢:倉山満>
おはようございます。ヨロンです。
最近、NFTという言葉をニュースで見かけるようになりました。
iPadで描いた落書きが何億円にもなるようなもので、なんとも怪しいイメージもあるのですが、よくわからない。ニュースを見ても「ブロックチェーン」「トークン」といった、仮想通貨(暗号資産)と絡めて見たようなキーワードが出てきて、さらにわかりにくくなっています。
さらに、Web3とかWeb3.0といった言葉も出てきて、あたかもこれがITの潮流であるかのような報道がされています。
今、自民党内では、平井卓也元デジタル改革担当大臣を顧問として、ブロックチェーン推進議連(木原誠二会長)を作り、何度も勉強会を開きながら政策に取り組んでいこうとしています。
新しいウェブ技術で国力を上げていこうということなので、非常に興味深く見ているのですが、いくら説明を読んでみても非常にわかりにくく、理解に苦しみます。
それもそのはず。平井さん自身がAbema Timesの取材で「はっきり言って定義はないし、皆がいろんなこと言うから何だか分からないということになっているのが実際のところではないか(笑)。一つ言えるのは、インターネットの使い方、あり方を変えたいという方々がたくさんいらっしゃるということだ」と、答えているのです。
推進しようとしている本人が「よくわからないもの」と言っているものはなんなのか。単にブームに乗ろうとしているだけではないのか。そう思ったのですが、いやいやここで挫けてはいけない。還暦過ぎたスカスカの脳で理解してみました。
3というからには1があるわけです。
もともと、この定義もしっかりしたものではなく、Web2.0と言うキーワードが出てきたときに、Web1.0が無理やり定義され、今回も仮想通貨を推進する本人(イーサリアムの共同創設者であるギャビン・ウッド氏)によって提唱されたもので、最初は「Web3」と言いだしたものを、「2.0があるんだから、3.0だろう」ということで、「Web3.0」という表現も並行して使われるようになったようです。
平将明議員などが積極的にブロックチェーン技術関連の政策を提唱しているのは、実は勝谷さんに関係するものがあるのですが、ここは私の想像なので、今日は割愛します。
Web3.0とは何なのか。
まず、Web1.0やWeb2.0については検索すれば色々出てきますが、わかりやすく言うとこういうことではないでしょうか。
インターネットが世の中に広く知られるようになってきて「ホームページ」が登場し、2002年くらいから「ブログ」が世界中に広まってきました。インターネット全体の技術を「ウェブ(Web)」と表現するようになった時代。これがWeb1.0。
誰でもインターネットを通じて情報を発信できるようになりました。
その後、動画をインターネット上に自由に載せられるようになったYouTubeの登場で、さらに情報発信の自由度が増し、2000年代後半から登場したツイッターやフェイスブックなどの「SNS」によって、インターネットが、世界中の誰とでも瞬時に繋がれるコミュニケーション・ツールとして発展しました。これがWeb2.0。
このWeb2.0というのは、検索や情報取得はグーグルやヤフー。物販販売はアマゾンや楽天、そしてSNSはツイッターやフェイスブックといった企業が、無料(中には有料もある)で使えるプラットフォームを提供することにより膨大な個人情報を手に入れて、巨大な利益を上げてきました。GAFA(ガファ:Google、Amazon、Facebook(現Meta)、Apple)という言葉が生まれ、これにMicrosoftを加えた「GAFAM」という言葉も出るようになりました。
誰でも情報発信やコミュニケーションができて、インターネットが日常生活に深く入り込んだけれど、世界的IT企業が富を独占している今がWeb2.0だというのです。
これに対抗して、情報やお金(資産)を個人のものにして大企業や銀行などをいちいち介することなく、資産や情報のやりとり、モノの売買などが行われるようにしようというのがWeb3.0なのです。これを実現するために、仮想通貨(暗号資産)の技術を使おうということです。
これを見ても、まだわかりにくいイメージがあると思います。そこで今日は日本で行われる具体的な事例をひとつ紹介しましょう。平井卓也さんも紹介した岡山県西粟倉村が行っている取り組みです。
最初に断っておきますが、これもわかりにくいものです。それでも岡山のど田舎で、こんな最先端の試みが行われているということだけでも興味深い。
「岡山県西粟倉村」で検索すると色々出てくるのですが、今回はこちらをリンクしておきます。
<人口約1,500 人の岡山県西粟倉村が行う新たな資金調達 日本初、地方自治体による地方創生ICO の実施を決定>
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000034782.html
<西粟倉村では、林業の六次産業化や、移住起業支援事業など、独自の地域活性化施策を積極的に取り組んできました。今後も持続可能な地域づくりを推進していくために、規模の小さな自治体が、新たな財源を確保して先行投資による地域づくりを行っていくための手段として、トークンを発行して仮想通貨を集めるICO による資金調達を自治体として日本で初めて導入します。>
ICOというのは何でしょう。ICO(Initial Coin Offering)の説明もされていますが、私なりに理解したものをお伝えします。
以前、「地域通貨」というものがありました。ある特定地域で通過を発行し、地域内での経済活動を活性化させるというものです。現在では、廃れたものもあれば、それこそブロックチェーン技術を取り入れて積極的に展開していこうとしている「chiica」という取り組みも始まっています。
一般的に、地域通貨は現地で購入し現地でしか使えませんが、これを世界中の投資家が購入して、町おこしまで参加させようというのが粟倉村の挑戦なのです。
地域通貨を世界中で買えるようにするには、その通貨がネット上で流通できるようになっていなければなりません。そこで、仮想通貨の技術を使おうというのです。
ここで出てくるのが「ブロックチェーン」です。銀行を介さずに通貨のやりとりができる技術。
Initial coin offering(ICO、イニシャル・コイン・オファリング)というのは、企業等が発行する暗号資産(仮想通貨)のことを言います。銀行を介さずにお金(資金)を発行できます。
今回、西粟倉村ではNAC(Nishi Awakura Coin ニシ・アワクラ・コイン)が発行されます。
これを世界中の投資家が購入し、資産として蓄えます。そして特典として西粟倉村で始まる新規事業などに参加できるようになります。日本のど田舎のベンチャーを世界中の投資家が支えていき、村にもお金が落ちる仕組みを作ろうというものです。
こう見てくると、なんだか「ふるさと納税」にもつながるような気がしてきます。
いかがでしょう。なんとなく理解していただけたのではないでしょうか。このお金のやりとりが行われていくのに、現在の税制ではいくつか問題があるので、それを解決していこうと平将明議員が提唱しています。
今のところは、自民党内で一部のブームのようになっていて、他の政党ではまったく付いてこれていません。自民党の議連の中でも、まだ手探り状態なので、これがすぐにどうこうなるものでもないのですが、世界から遅れている日本のIT産業が盛り返す起爆剤になるかどうか、これからの取組みにかかっています。
さて、今回取り上げた地域起こしや、これからの個人の情報発信や資産のあり方はどうなるのでしょう。今回は第一章といった感じなので、今後も取り上げていきます。質問などありましたら、お送りください。
今日は倉山さんが、岸田内閣の実態から参院選への展望を、具体的に解説してくれています。キーワードはガースー?そして日銀人事?
どうなることでしょう。
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【今頃になって初夢】
倉山満(憲政史研究者)
遅い初夢を。
岸田内閣が続いたとする。
岸田首相の基本姿勢は明確で
「断固たる信念で運命を切り開かない」
参議院選挙に勝つまでは、
何が何でも事なかれ主義、
という姿勢が透けて見える。
あまり「愚民」「衆愚政治」という
言葉を使いたくないけど、
大多数の国民が新コロを怖がっているから、
それに合わせる。
支持率は対して下がらない。
下っ端の官僚がテキトーなことやって、
野党に間違いを指摘されたら、
総理大臣が直す。
そのテキトーな事って、
「外国にいる日本人は帰ってくるな」とか
「濃厚接触者は大学受験受けさせない」とか、
国民の権利を制限する事。
そして、岸田首相周辺からは事あるごとに
「衣の下の増税」
今回のコロナ禍で、官僚は味をしめました。
「疫病対策」とかテキトーなことを言っておけば、
国民は黙って従う。
憲法なんか、どうでもいい。
日ごろの護憲派はどこにいったかと思うくらい、
憲法の手続きを無視して政府は国民を規制する。
当然、補償なんか出さない。
代わりに、特定の業者には補助金をバラまく。
これは岸田文雄個人ではなく、自民党の体質。
今の自民党には、
「経済全体のパイを大きくする」
「国民全体の福利」
という概念はない。
予算や補助金を分捕ってくるのが
「優秀な自民党議員」と化している。
前提は、経済は成長しない。
だから経済を成長させる気はない。
みんなの賃金を上げる気はない。
じゃあ、希望が無いかと言うと、違う。
自民党って良くも悪くも幅広い政党で、
なんで高市早苗さんと野田聖子さんが同じ党にいるのか、
政策とか理念では説明がつかない。(笑)
それだけに対立軸は常にある。
現在、岸田内閣の主流派は、
岸田派45人、茂木派53人、麻生派54人。
さらに旧谷垣グループ12人。
茂木幹事長は岸田さんが3年くらい続いて、
その間に自分が幹事長を続ければ、
次は熟した柿が落ちるように自分が総理。
という計算が働くので、支えるモチベがある。
麻生さんは、岸田でもそれ以外の
誰でもいいでしょう。
準主流派が、安倍派97人。
岸田さん、安倍さんを敬して遠ざけている。
数を持っているので無下にはできないけど、
今までさんざんコケにされてきましたからねえ。
反主流派が、二階派43人、森山派7人、
それに菅グループ26人。
圏外が石破派10人。
他に無派閥が26人。
菅・二階・森山のMSNトリオは健在。
森山派なんて、
菅派と二階派のどちらに身売りするかの二択状態。
さらに麻生派の佐藤勉さんが
5人くらいの側近を引き連れ、
「菅派」に馳せ参じるとの噂も。
もし森山・佐藤が合流すれば
「菅派」は40人近くなる。
さらに二階派とくっつけば、80人の派閥も可能。
夏の参議院選挙で自民党が負ければ、
菅さんが
キャスティングボートを握れる可能性もある。
さて、こうした状況で参議院選挙。
岸田さんと茂木さんは勝ちたい。
しかし、安倍・二階・菅は
ここで参議院選挙に勝って、
岸田政権が盤石になるのを望むか。
麻生さんは、どっちでもいい。(笑)
そこで、参議院選挙の勝ち負けを考える算数。
現在の参議院の総定数は245。半分が改選。
最も読みやすいのが公明党。
合計28で、改選も非改選も14。
この党、勝率100%(候補者全員当選)なので、
極端に増えないけど極端に減りもしない。
選挙後も28と計算する。
自民党の非改選は53。改選は57。合計110。
単独で過半数を得ようとすると
123-53=70議席が必要。
さすがにどんな勝ち方ですか?となる。
しかし、公明党と合わせて過半数なら、
123-(57+28)=38議席でいい。
こんなの宇野内閣なみ。(笑)
まあ、自民党政権は継続でも、
岸田内閣総辞職でしょうけどね。
結局、
過去に枝野たちが参議院選挙をさぼったので、
自民党が楽勝の選挙になっている。
となると、
「野党に入れても無駄!」ということで、
自民党が意外と勝つかもしれない。
岸田・茂木が狙っているのは、このシナリオ。
さて、それを公明党が望むでしょうか。
参議院選挙で惨敗の橋本内閣が44議席で退陣。
それより少しマシな50議席くらいが
最も望ましいでしょうね。
その場合、自公は131議席。
というのは、あんまりにも伯仲国会になると、
自民党は維新や国民を重視、
公明党を軽視するかもしれない。
まあ、憲法改正は阻止するでしょうけど。
公明党としたら、
「自民党が勝ちすぎず、負けすぎず」が嬉しい。
ちなみに50議席ということは、
自民は7議席減。
19議席減らすのは大変でも、
7議席くらいなら一瞬で減る。
そのあたり、公明党、というより
創価学会の匙加減次第。
過去の参議院選挙では、
1回の選挙で自民党が過半数割れに
追い込まれたことがある。
土井たか子のマドンナブーム。
つまり、野党が乱立せず真面目に選挙協力、
土井たか子くらい魅力ある党首でまとまれば、
それすら可能。
もっと欲を言えば、
鳩山由紀夫や菅直人くらい魅力ある党首がいれば、
自民党をねじれ国会に追い込む、
ひいては政権奪取も可能。
土井たか子、鳩山由紀夫、菅直人が
魅力ある党首……。
いかに以後の野党第一党党首が地獄絵図だったか。
まあ、参議院選挙は重要だけど
政権交代が即座に起きる訳ではないので。
野党の動きは別の問題として、
この前、面白いアンケートが。
日経CNBCが投資家にアンケートをとると、
岸田内閣の支持率は3%。
不支持率が95.7%。
何議席減ったら退陣かは
時の権力闘争なんで言いませんが、
改選獲得議席50を切ると退陣ラインでしょうね。
さて、そこで!
自公政権は過半数を超えるけど、
岸田おろしが成立。
維新や国民とも連携した国会運営が求められる。
となると、次の総理は誰がいいか?
安倍さんもやる気だし、
高市さんを出してくるかもしれないけど、
そこは詳述しない。
私は玄人筋で再評価が高まる、
菅さんの再登板を望む。
実績の最たるものは、皇室。
岸田内閣が夏まで棚ざらしにして退陣したら、
「皇位継承問題をやり抜く!」を
看板に出馬すれば、
安倍派ら保守派は反対できないでしょう。
このままいくと
夏の時点でもコロナが続いていかねない。
ならば、民間人大臣として
大木隆生東京慈恵会医科大教授に
コロナ対策を全面的に任せるべき。
菅さんは在任中に大木先生にはお会いしている。
インタビューして分かったんだけど、
菅さんがやろうとした規制改革って、
要するに「民の活力を強める!」
いいことやってるんだけど、
アピールする人がいなかった。
特に正副官房長官!
個々の人事を間違わないのが肝要。
それはともかく、規制緩和と減税で
民の活力を強める。
減税の財源?
社会保障の削減に決まっている。
このコロナで、医師会の言うがままに、
無駄な歳出が大量にあることがわかった。
片っ端から切ればいい。
民の活力を強めるには、
経済のパイ自体を増やす。
成長させる。
言論界に
「もう日本は成長は無理だ!」
「2%の成長なんて高望みだ!」
とのたまう連中が蔓延っているけど、
アメリカって、何%の成長率でしたっけ?
インフレを抑制するのに頭抱えていますが。
菅内閣では、日銀人事を間違えなかった。
来年の4月から新総裁になる。
この人事は、大臣なんかよりよほど重要。
このままいくと
日銀プロパーの雨宮副総裁の昇格。
空いた副総裁には財務省出身者。
金融引き締めと増税ですね。
コロナでバラまいた分を増税で回収しつつ、
金融は引き締め。
地獄ですね。
岸田内閣続投だと、このシナリオ。
それを回避するには、ズバリ
若田部昌澄副総裁の昇格!
参議院選挙をねじれさせねばならないのは、
日銀人事の為。
今頃になって初夢を見た。
如何?