2022年２月３日号。＜ウィズコロナ時代をプラスに変える ／ 最高裁は官僚の味方：倉山満＞

＜ウィズコロナ時代をプラスに変える ／ 最高裁は官僚の味方：倉山満＞

　おはようございます。ヨロンです。

　２日連続、半蔵門で迎える朝です。
　このところ事務所に泊まり込むことが多いのは、仕事もあるのですが、移動による感染リスクを減らすという理由もあります。
　単に「移動が面倒だ」ということもあり、夜遅くに帰宅して、また翌日出社するのであれば、泊まっていったほうが楽か、と。
　とはいえ、会社に寝泊まりするのは気が休まらないということも言えます。やはりどこか緊張しているのでしょう。

　昨日、東京では初めて陽性者が２万人を超えたということで、マスコミはセンセーショナルに書き立てます。
＜東京都で2万1576人が感染　初の2万人台　重症30人、6人死亡＞
https://digital.asahi.com/articles/ASQ225RHNQ22UTIL02Z.html

　先週、世論社の事務所で行ったイベントのスタッフから連絡がないので「もしや」と思っていたところ、「陽性反応が出ました」という報告が来ました。事務所に一日いたのは発症５日前で、ずっとマスクをしてほとんど無言だったので、私は濃厚接触者にあたりませんが、気にはなります。
　また一昨日１時間ほど事務所を来訪された方から、「濃厚接触者と食事したことがわかり、検査して結果待ちです」と連絡が来ました。その方ともマスクをしたまま話していたので、心配することも無いと思うのですが、近くまで来ている感覚はあります。

「ヨロンは１月中にピークアウトするって言っていたじゃないか」というコメントもいただきました。確かにもっと早くピークアウトすると思っていたのですが、やはり素人の希望的観測は言わないほうが良さそうです。
　しかし、感染が拡大し始めたときの指数関数的な伸びは無くなり、昨日の東京も、前週の1.5倍ということで、「そろそろかな」という感覚はあります。
＜東京感染者数増え方緩やか、ピークアウトの方向＝山際再生相＞
https://jp.reuters.com/article/wakayama-covid-idJPKBN2K70P9
＜山際大志郎経済再生相は２日、東京都の新型コロナウイルス・新規感染者数２万人越えについて、増え方は緩やかになっているとの認識を示した。昨年未からの感染第６波についてピークアウトの方向にあると表現した。＞

　小池百合子都知事は、何かやらなければならないということで、病床使用率50％超えを理由に、緊急事態宣言発令を求めようとしていますが、人工呼吸器か体外式膜型人工肺（ECMO（エクモ））を使用している重傷者数は30人。そして重傷者用の病床使用率は5.5％という実態を見る必要があります。

　すでに保健所の手がまわらなくなっているので、検査を受けずに医師が陽性判断を出せるようになりました。また、学校では今まで陽性者が出たときに、その濃厚接触者を調べて資料を作り、その判断を保健所に委ねるという作業をやっていたところ、学校で判断できるようになったということです。遅れてはいますが、現実に即した対応がされるようになってきています。

　今から緊急事態宣言を発出しても、効果が出るころはすでにピークアウトしているでしょう。そもそも効果はあるのか。今からさらに飲食店や各種施設を閉じたところで、それは店を潰すことにしからならず、問題となっている学校や家庭内でのクラスター発生にはほとんど効果は見込めません。

　やはり、コロナウイルスは「そこらにあって、増えたり減っったりする」ものととらえて、感染者が増えている状況では、市民は自分を守るために基本的な感染予防策を、よりしっかりと取り続けるしか無い、ということを徹底させるのが大事なのだと思います。
　そして行政では、闇雲に「マンボウだ」「緊急事態宣言だ」と騒いでやった気になっているのではなく、問題がある場所を集中的に対応し、ときに大鉈を振るうことを考えてもらいたい。
　岸田内閣は、すでに指摘されているように、現状を見るところまではできているようですが、大鉈を振るうことができない。それが、このあとの日本経済や国民生活にどのように影響してくるのか見ていく必要があります。

　コロナ禍でのテレワーク需要を背景に、NTTは最高の収益となったようです。会員用の記事ですが無料会員登録で読めるのでリンクしておきます。
＜NTT営業益最高の1兆5500億円　4～12月、光回線好調＞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC020SI0S2A200C2000000/
＜NTTの2021年4～12月期の連結営業利益（国際会計基準）が前年同期比約3%増の1兆5500億円前後になったことが分かった。在宅勤務の広がりでインターネットの光回線の契約が増えた。電子商取引（EC）の決済向けなど企業用のシステム開発も好調で、新型コロナウイルス禍に伴うデジタル化の波を捉え、同期として3年ぶりに最高益を更新する。＞

　こうしたニュースを見ると、「みんなが苦しいときに、何儲けているんだ。もっと携帯料金を下げるとか、還元せんかい！」と言いたくなりますね。

　コロナで苦しんでいるところがあれば、追い風となっているところもある。なにか大きな潮流の変化が起きると、それを受けて縮小していくものや拡大するものが出てくるのは当然のことなのかもしれません。

　そういえば、永野彰一君というかなり変わった友人がいます。もともと10代のころに資格を100以上取っていたことで話題になり、プロ麻雀師や株のトレーダーとして儲けた後、アイドルのプロデュースをやったり、全国の空き家を買って運用している若者です。
　昨年の3月に、「ガイアの夜明け」に【ニッポンの山は“宝の山”！？】というタイトルで出演したので、覚えている方もいるのではないでしょうか。
　以前彼と話したとき、「この間、諏訪で一軒家を買ったんですが、1000万で出ていた物件が100万円で買えちゃったんですよ」と言っていて、そのコツを教えてもらいました。
　大学の講義でゲストに呼んで話してもらったこともあったのですが、飄々とした風貌とは裏腹に、頭の回転が速く、興味のあることには貪欲に取り組んでいく若者です。

　話だけ聞くと怪しいヤツに思えるかもしれませんが、当人はいたって真面目でまともな人間なので、その生き方も含めて、またこちらで紹介していきたいと思います。そのまま取り入れるわけには行きませんが、彼の生き方は参考になりそうです。

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　今日の倉山さんの講義で「法律の誤植」の話が出てきます。しかも選挙のところで。
　以前どこかで聞いたことがありましたが、こうして実例を示してもらうとよくわかります。

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【最高裁は官僚の味方】

　倉山満（憲政史研究者）

実は私、憲法学者だったりします。
そして最近は、というかコロナ以降は、
「日本一の護憲派」を自称しています。

いわゆる護憲派、私が言う
「なんちゃって護憲派」は日ごろ、
「戦争になって人が何人殺されても、抵抗するな。
　憲法9条を守れ」
と説いています。

その言によれば
「コロナで何人死んでも、自粛するな。
　憲法29条を守れ」
と言わなければならないはず。
しかし、そんな護憲派、聞いたことが無い。

むしろ、政府のあからさまな憲法違反に対し、
沈黙。
改憲派が「緊急事態条項だ！」と言い出したら、
「コロナのドサクサに憲法改悪をするな！」
と言い出す。
結局、「いつもの護憲派」は本気で
日本国憲法の理念を実現したいのではなく、
「反・改憲派」にすぎない。

私なんか、
「どうせ明日、憲法改正ができる訳じゃない」
「だったら、有効利用するしかない」
「というか、ちゃんとしろ！」
と言う側です。

そもそも論として、日本国憲法は
本来は無効です。
こんなの、ナチスが占領した
フランスやオーストリアで敷いた、
占領基本法と同じ。
フランスもオーストリアも、
ナチスがいなくなったら、
そんな占領期法本なんて無効にした。

ところが我が日本は、
占領が明けても、日本国憲法を推し戴いた。
ちなみに最高裁の立場は、明言はしてないけど、
「占領中の日本国憲法は最高法。ではない。
　上に占領軍がいたので。
　占領が明けてからは、上に何もない存在なので、
　日本国憲法は日本の憲法となった」
です。
色んな判例を細かく読んでいくと、
そういう本音が読み取れる。

とにもかくにも、日本国憲法を
日本国の憲法（最高の法）として、
今まで奉ってきた。
誤植一文字も直さずに。

日本国憲法って、誤植があるんです。
天皇の国事行為を並べた第七条に以下。

四　国会議員の総選挙の施行を公示すること。

衆議院は解散したら総選挙だけど、
参議院は半数ごとの改選。
だから「総」の一文字が誤植。

ちなみに今の日本国憲法を制定するときに、
法制局の役人が審査する。
こういう誤植を見つけるのが仕事の人たち。
見逃すはずがない。
ワザと残した以外に考えられない。

似非護憲派の連中は、
この一文字を削ったら、
戦争になるとでも言うのか。
言います。

「憲法典の文字に書かれていることは、
　それ自体に意味があるから、誤植ではない」
と真顔で演説された時は、返す言葉が無かった。
2秒くらい考えて
「どんな意味が、言ってみろよ」と言うと、
何も答えなかったけど。

ちなみに、11条と97条。

第十一条　国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

要約すると、
「人権は永久に不滅です！」
お前は長嶋茂雄か？

第九十七条　この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

要約すると、
「人権は永久に不滅です！」
大事なことなので二回言いました。
お前はニコニコ動画か？

同一内容の繰り返しはしない。
が法律の大原則だけど、
似非護憲派はこれの削除を許さない。
自民党改憲案が97条の削除を言い出した時、
「人権軽視だ！」と大騒ぎした。

頭は大丈夫か？
ところが、そんなに大事な事件を守らないのは
コロナ禍でも明らか。

自粛を要請（と称し事実上の強制）するには
四つの条件がある。

一、専門家の意見を事前に聴取していること。
二、科学的知見に基づいていること。
三、規制が必要最小限度であること。
四、量刑が比例原則に基づいていること。

小池百合子なんて、
一しかやったことないんじゃない？

「コロナだ！」と言えば、
なんでもやっていい、ことにはならない。

ここからが日本国憲法の理念。
さんざん、
「明治憲法の時代は人権尊重なんてなかった。
　今の憲法は人権尊重がちゃんとしている」
と大見え切った上で大威張りするのが
以下の理屈。

政府が国民の人権侵害をすることもある。
たとえば、国会による立法。
たおえば、行政府による命令や行為。
そうした違憲の法令や行為があったとしても、
国民が泣き寝入りすることは、
日本国憲法下ではありえない。

具体的には、
人権侵害の疑いがある法令や行為は
裁判所に訴えることができる。
最終的には最高裁が、
違憲の疑いを審査し、仮に違憲であれば
その法令や行為の無効を宣言できる。
だから、一個人であっても
権力に対して泣き寝入りすることはない。

少しでも社会の現実を知っている人間なら
「嘘つけ！」で終わる話です。
でも、具体的に何がどうウソなのか、
を説明できる人は少ないと思います。

たとえば、注射。
このコロナ禍で憲法違反、法律違反が
続発しています。
その一つが、医師以外による注射を
医師法を変えることなく許可した。
ワクチン接種の為です。

医師法では、
医師以外は注射を打ってはいけません。
仮に打てるようにするには、
法律を変えねばならない。
こんなの、野党も反対しないんだから、
午前に衆議院を通して午後に参議院を通せばいい。
しかし、そうした手続きをしなかった。
「コロナなんだから、いいでしょ。」
で、すっ飛ばした。

もっともらしい大義名分があれば何でもあり、
は人権侵害の道具です。

他にもたとえば、レジ袋。
レジ袋の有料義務化は
「法制化すると憲法違反」と疑義があった。
ところが環境省が省令で押し通した。

「環境問題は大切だ！」
「プラスティックは減らせ！」
は結構だけど、
憲法22条が認める「営業の自由」に抵触する。

で、細かいことは飛ばすけど、
厳密には「義務化」ではなく、「実質義務化」

省令は法律から委任された範囲でしか
行政（官僚）は動けない。
官僚は国民に対し、
直接の権力を行使する立場だから、
法律に根拠がなければならない。
その逸脱は憲法違反。

じゃあ、最高裁に訴えたらどうなるか？
門前払い。

「官僚に人権侵害されました！
　コイツのやったこと、逸脱です！」
と訴えても、
「そんなの裁量の範囲です」
で終了。
官僚も最高裁は自分たちの味方だと思っている。

その証拠が『判例百選』
別名、「最高裁門前払い集」

より正確に言うと、
高裁の段階で門前払いにされる。

じゃあ、
「官僚の権限逸脱に最高裁が違憲判決を下した例」
って、何件あるか？

ゼロ。
むしろ最高裁の判決文は、
「この程度は構わない」のオンパレード。

日本が官僚国家の所以です。

そもそも憲法の理念を守らない。
最近は、書いてあることも守らない。

憲法って何？

コロナで
「日本一の護憲派」
になってしまったので
どうしたものかと考えております。